【プロフィール】
2017年時点での稼働ワイナリー数は303(日本ワインを製造しているのは229)
日本ワイン生産量では、山梨県、長野県、北海道、山形県、岩手県、新潟県、岡山県の順で
上位3道県で7割を占めています
全ワイナリー数の3割弱が山梨県に集中しています、近年では長野県や北海道でも急増しています
また、現在稼働しているワイナリーの約83%は年間生産量13万本以下の小規模ワイナリーです
【歴史】
1874年 山田宥教(ひろのり)と詫間憲久(のりひさ)が甲府で初めて本格的ワイン造りをスタートさせました
1927年 川上善兵衛(ぜんべえ)が新潟県でマスカット・ベリーAやブラック・クイーンなど、日本独自の改良品種の開発を行いました
2010年 甲州がO.I.V(国際ぶどう・ぶどう酒機構)のリストにブドウ品種として掲載が認められました
2013年 マスカット・ベリーAがO.I.V(国際ぶどう・ぶどう酒機構)のリストにブドウ品種として掲載が認められました
2020年 山幸(やまさち)がO.I.V(国際ぶどう・ぶどう酒機構)のリストにブドウ品種として掲載が認められました
2015年 国税庁により「ワインのラベルの表示ルール」と呼ばれる『果実酒等の製法品質表示基準』が定められ、「日本ワイン」の表示のほか、原料ブドウの産地や品種、収穫年の表示についても規定が定められました
【気候風土】
南北に長い日本列島は、全体では内陸性気候が多いものの、北と南で気候が大きく異なります
北海道の後志(しりべし)地方は海洋性気候、空知(そらち)地方は内陸性気候ですが
いずれも梅雨がない反面、秋が短く積雪があり育成期間が短くなります
一方、山形は秋雨に悩まされることが少なく、育成期間が長く取ることができます
【ワインラベルの表示ルール】
従来「国産ワイン」と呼ばれていたものには輸入濃縮果汁や輸入ワインが原料のものがあり、国産ブドウのみを用いた“日本ワイン”とそれ以外の違いがラベル表示だけでは分かりにくい状態でした
そのため表示基準を定め、産地・品種・収穫年の表示についても規定を定めました
■日本ワインのラベル表示
日本ワインの場合にのみ“日本ワイン”という表記、地名、ブドウ品種名、収穫年を記すことができます
又、海外原料を使った場合は、その旨を記すことが義務となりました
【日本における地理的表示制度】
平成27年10月に制度が見直され、指定を受けるための基準が明確化されるとともに、すべての酒類が制度の対象となりました
地理的表示を名乗る酒類には、容器、包装、その他類するものに「地理的表示○○」や「GI○○」などの表示を行うことが義務化されました
現在ワインでは、北海道、山形、長野、山梨、大阪の5産地が指定されています
■日本ワインの生産量
日本ワインの生産量は、国税庁が2019年に発表したデータによると、生産量は16,612kl(約2,200万本)
ワイン生産量世界第1位のイタリアは約73億本なので、日本の約330倍となります 世界の水準と比較すると、「日本ワイン」の生産量はまだまだ少ないことがわかりますね
【ブドウ品種】
明治時代、欧州やアメリカからブドウの苗木がもたらされたものの、栽培が困難だった為、日本の気候に適応する品種を求め、交雑・交配による品種開発が行われました
近年では、日本ワインを海外へ輸出する流れを受け、酒類総合研究所からの申請により、2010年に甲州、2013年にマスカット・ベリーA、2020年に山幸がO.I.V(国際ぶどう・ぶどう酒機構)のリストにブドウ品種として掲載が認められました
日本ワイン生み出す、日本固有品種のぶどうは主に3種類です
白は甲州、黒はマスカット・ベリーAとブラック・クイーンです
マスカット・ベリーA、ブラック・クイーンはいずれも、 “日本ワインの父”と呼ばれる川上善兵衛が品種改良でつくったものです
甲州は、奈良時代に日本に伝わったとされる、日本の固有品種です
そのルーツは、ヨーロッパにあるとされていて、果皮は赤みを帯びていますが、白ワインの品種として使われています
耐病性が強く、栽培条件は日本の気候に合っていると言われています
マスカット・ベリーAは、アメリカ系のベーリー種とヨーロッパ系のマスカット・ハンブルク種を交配してつくられました
日本の気候に合わせて作られた品種のため、耐寒・耐病性に優れ、比較的容易に育てることができます
【主なワイン産地】
北海道では1876年に初めてワインが造られました
その後中断し、1960年代に再開し、1982年に余市の農家にピノ・ノワールの苗木が配られ、余市町で本格的な欧・中東系品種の栽培が始まりました
主要ブドウ品種は、ナイアガラの受入量が最も多く、
他にドイツ系品種であるケルナーとミュラー・トリガウが多く、日本における全醸造量の大半を北海道が占めています
空知地方や余市町を中心にピノ・ノワールが急速に増加しています
山形県では、明治中期頃からワイン造りが始まりました
2016年に上山市が「かみのやまワイン特区」、南陽市もワイン特区に指定されました
日本ワインの原料ブドウとしては、マスカット・ベリーA、シャルドネ、メルロの順に多く、ブラック・クイーンも山形県の赤ワインの重要品種とされています
長野県は、日本ワイン造りにおいて最も活気のある県です
2002年に長野県原産地呼称管理制度を創設し、2003年度に導入しました
2008年に東御(とうみ)市のワイン特区認定を皮切りとして、多くの地区が認定を受けています
2013年に信州ワインバレー構想を発表し、松本盆地、上田盆地、長野盆地、伊那盆地の4つのエリアに区分けし、生産者の育成や、県産ワインのPRを行っています
山梨県は、日本ワイン造りの発祥の地です
1870年、1871年頃に、山田宥教(ひろのり)と、詫間憲久(たくまのりひさ)の二人が共同して甲府でワイン造りを開始しました
2008年に北杜(ほくと)市が日本で初めてワイン特区に認定されました
2013年に国税庁が「山梨」をワイン産地として指定し、地理的表示「山梨」の表記が始まり、山梨を名乗るためには一定の条件を満たさなければならなくなりました
ブドウ栽培が盛んな甲府盆地は、昼夜と夏冬の気温差が大きい盆地気候です
とりわけ勝沼周辺の降水量は少なく、県内全般で風が弱いのが特徴です
ソムリエ試験の日本ワインの出題は、主要なワイン産地の位置、ブドウ品種、歴史、関係する人物を問われる傾向があります
国内ワインの動向と合わせて、都道府県別の特徴をしっかりと抑えていきましょう!
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