【独学】フランス ボルドー地方 メドック地区 ソムリエ試験対策

ソムリエ試験対策

【地理・特徴】

ボルドー地方に位置しジロンド川左岸の地域をメドック地区、ガロンヌ側左岸の地域をグラーヴ地区といいます

川の上流がピレネー山脈に位置しています

ピレネー山脈はスペインとフランスの間に約 430 km にわたって連なる、標高約 3,400 m の山脈です

全域を横断するハイキング コースや、自然公園内のより短い遊歩道がいくつもあり、山脈の両側には多数のスキーリゾートもあります

また、この山脈の中心には、小さな主権国家アンドラがあります

アンドラ公国は、一人当たりのワイン消費量で世界第1位です

土壌は岩盤が川の流れによってもたらされ、上流から小石、砂利、粘土土壌で形成されています

【主要品種】

主要ブドウ品種は白が、ソーヴィニヨンブラン、セミヨン、ミュスカデルなど

黒がカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、カベル・フランネ、マルベック、プティ・ヴェルドなどです

ボルドー地方のワインは、ブルゴーニュ地方のワインとは異なり、複数のブドウ品種からワインを調合して作られます

ブドウは品種ごとに別々に収穫、発酵され、熟成に入る前段階で調合されます

【A.O.C.】

ボルドー地方のA.O.Cは地方名、地区名、村名の階層になっており、ブルゴーニュのような畑のA.O.Cはありません

メドック地区の主要A.O.Cは

メドック

オー・メドック

サン・テステフ

ポイヤック

サン・ジュリアン

マルゴー

ムーリス

リストラックです

ジロンド川の左岸地域に位置しており、メドック地区のA.O.Cは全て赤のみが認められています

白を造るとA.O.Cボルドーとなります

サン・テステフは6つの村名A.O.Cの中でも最北に位置します

堆積(たいせき)した砂の下に粘土石灰質の土壌を持ち、堅く骨太な赤ワインを生みます

ポイヤックは砂利質土壌が顕著で、どのシャトーもカベルネ・ソーヴィニョンの比率が高めの、力強く骨格のしっかりとしたワインを生みます

サン・ジュリアンは粘土質や、粘土石灰質の上を砂利が覆う土壌で、骨格のしっかりとしたタイプのワインや、力強さとしなやかさを兼ね備えたタイプのワインも生みます

マルゴーは6つのA.O.Cの中で、最大かつ最南に位置します

砂質の小さな丘や、粘土石灰質の土壌が点在し、カベルネ・ソーヴィニョンとメルロの調和のとれたエレガントなワインを生みます

グラーヴ地区の主要A.O.Cは

グラーヴとペサック・レオニャンです

ガロンヌ川の左岸地域に位置しており、

グラーヴ地区のA.O.Cは赤と白が認められています

格付けされている生産者は全てA.O.Cペサック・レオニャンに位置しています

【メドック格付け】

メドック格付けは、1855年のパリ万博の際に、ナポレオン3世の命令を受け、ボルドー市の商工会議所がジロンド県のワインの格付けを作成しました

1級から5級まで61のシャトーが格付けされました

この格付けは、これまでの歴史の中で一度の変更を加えたきり現在まで変わらず存在しています

一度の変更は、1973年、ポイヤック2級だったムートン・ロッチルドが1級に昇格したことです

歴史的な変更で恐らく最初で最後の変更といわれています

サン・テステフ

2級

コス・デストゥールネル

モンローズ

3級

カロン・セギュール

4級

ラフォン・ロッシェ

5級

コス・ラボリです

サン・テステフにあるメドック格付けシャトーは5つです

そのうち2級シャトーのモンローズとコス・デストゥールネルは、1級シャトーに次ぐ優れたワインと言われるスーパーセカンドに挙げられます

ポイヤック

1級

ラフィット・ロッチルド

ラトゥール

ムートン・ロッチルド

2級

ピション・ロングヴィル・バロン

ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド

4級

デュアール・ミロン・ロッチルド

5級

ポンテ・カネ

バタイィ

オー・バタイィ

グラン・ピュイ・ラコスト

グラン・ピュイ・デュカス

ランシュ・バージュ

ランシュ・ムーサス

ダルマイヤック

オー・バージュ・リベラル

ペデスクロー

クレール・ミロン

クロワゼ・バージュです

1級シャトー5つのうち、3つが位置しています

3級はなしで、合計18のシャトーが格付けされています

1850年にピションとバロンはシャトーが分割され、バロンとコンテス・ド・ラランドになりました

因みにこの長い名前は、最初に運営を行った一族、バロン・ジャック・ピション・ド・ロングヴィルが由来となっています

デュアール・ミロンはかつて、ラフィット・ロッチルドのセカンドワインとして扱われていました

グラン・ピュイは大きな塚の意味だそうです。畑はポイヤックの南で最も高所の地域の一つにあります

1835年にランシュ伯爵の領地がランシュ・バージュとランシュ・ムーサに分割され、シャトーの名前は生まれました

ランシュはオーナーの名前ですね

ボルドーに限らずですが、ワインの名前にオーナー登場しがちです

ダルマイヤックは、1956年にシャトー・ムートン・バロン・フィリップという名前に変更

その後、1975年シャトー・ムートン・バロンヌ・フィリップという名前に変更

そして、1988年シャトー・ダルマイヤックに変更されました

サン・ジュリアン

2級

レオヴィル・ラス・カーズ

レオヴィル・ポワフェレ

レオヴィル・バルトン

グリュオラ・ラローズ

デュクリュ・ボーカイユ

3級

ラグランジュ

ランゴア・バルトン

4級

サン・ピエール

タルボ

ブラネール・デュクリュ

ベイシュヴェルです

1級はなしで、2級から4級で11のシャトーが格付けされています

1840年に大きなレオヴィルの区画からそれぞれ分割しました

レオヴィル・ラス・カーズは格付け2級ですが1級シャトーと比べても大きな差がないと

高い評価を得ているワインです

ラグランジュは「自立した小さな集落」の意味で、中世時代からワインの銘醸畑として有名でした

1900年代の世界大恐慌や、戦争によって醸造設備が悪化し品質が大幅に低下しました

1983年に日本のサントリーが所有し、再び世界に評価されるワインへと流れを変えました

サン・ピエール、ブラネール・デュクリュ、ベイシュヴェルはそれぞれ近くに位置しています

サン・ピエールは面積17haと小さめの畑で、平均樹齢が50年程度あり、小規模の隠れた実力派です

マルゴー

1級

マルゴー

2級

ブラーヌ・カントナック(カントナック村)

ローザン・セグラ(マルゴー村)

ローザン・ガシー(マルゴー村)

デュルフォール・ヴィヴァンス(マルゴー村)

ラスコンブ(マルゴー村)

3級

ディサン(カントナック村)

キルヴァン(カントナック村)

ボイド・カントナック(カントナック村)

カントナック・ブラウン(カントナック村)

パルメール(カントナック村)

デスミライユ(カントナック村)

ジスクール(ラバルド村)

フェリエール(マルゴー村)

マレスコ・サン・デグジュペリ(マルゴー村)

マルキ・ダレーム・ベッケール(マルゴー村)

4級

プージェ(カントナック村)

プリウレ・リシーヌ(カントナック村)

マレキ・ド・テルム(マルゴー村)

5級

デュ・テルトル(アルサック村)

ドーザック(ラバルド村)です

A.O.Cマルゴーに

マルゴー、カントナック、ラバルド、アルサック、スッサンの5つの村があります

マルゴーはメドック地区の中で最大面積をほこります

1級から5級まで21のシャトーが格付けされています

1785年にローザン・セグラとローザン・ガシーの2つに分割されました

ローザン・セグラは、1960年代から80年代まで2級には程遠い品質評価とされた暗黒時代がありました

1994年にファッションブランドのCHANELにシャトーが買われ、抜本的な改革が行われ品質は大きく向上しました

ラスコンブはメドック格付けで最大の畑を持つシャトーです

ジスクールの2001年 2000年 1999年をロバート・パーカーはジスクール史上最上の三部作と評価しています

ロバート・パーカーは世界で最も影響力のあるアメリカのワイン評論家です

パーカーポイントという、彼が各ワインにつける点数はその評価によって

ワインの価格に大きな影響を与えます

ボイド・カントナックとプージェは同じオーナーのシャトーです

オー・メドック

3級

ラ・ラギュンヌ(リュドン村)

4級

ラ・トゥール・カルネ(サン・ローラン村)

5級

ベルグラーヴ(サン・ローラン村)

ド・カマンザック(サン・ローラン村)

カントメルル(マコー村)です

ラ・ラギュンヌはメドック格付けのシャトーの中で最も南に位置しています

他のメドックのワインに比べて、全体10%とプティ・ヴェルドの栽培が多いのが特徴です

ボルドーで、プティ・ヴェルドは伝統的にブレンドに用いられることが多い品種です

【グラーヴ格付け】

グラーヴ格付けは、メドック格付けから約100年後の1953年に制定されました

グラーヴ地区はボルドーのブドウの発祥地として知られています

格付けの中のシャトー・オー・ブリオンはメドックとグラーヴ両方の格付けで選ばれています

オー・ブリオンは5代シャトーの中で最もエレガントで香り高いと評価されています

他の1級シャトーに比べ、メルロの比率が高いため、渋みが少なく柔らかさがあり

グラーヴ地区らしい香りや味の調和が見事なワインです

グラーヴ地区の格付け銘柄で赤のみが認められているのが

赤、オー・ブリオン

赤、パプ・クレマン

赤、ド・フューザル

赤、オー・バイィ

赤、ラ・ミッション・オーブリオン

赤、ラ・トゥール・オーブリオン

赤、スミス・オーラフィットです

パプ・クレマンは13世紀からの歴史を持ち、パプは教皇の意味をもちます

オー・バイィは周囲のシャトーが赤・白の両方を生産している中で、頑ななまでに赤ワインだけを造り続けている、職人魂の硬派なシャトーです

ラ・ミッション・オーブリオンはオー・ブリオンと道一本挟んで向かい合うため比較されがちです

ラ・トゥール・オーブリオンは2005年より、ラ・ミッション・オーブリオンに統合し以降のものは消滅しています

赤・白が認められているのが

赤、白、ブスコー

赤、白、カルボニュー

赤、白、ド・シュバリエ

赤、白、マラルティック・ラグラヴィエール

赤、白、オリヴィエ

赤、白、ラ・トゥール・マルティヤック

カルボニューは赤ワイン用品種の栽培面積が約50ha、白ワイン用品種の栽培面積が約42haで、グラーヴ地区で最も大きなシャトーです

マラルティック・ラグラヴィエールはシャンパーニュメゾンのローラン・ペリエの傘下に入り、様々な改革に取り組み2000年以降急速に評価を高めています

ラ・トゥール・マルティヤックの名前にも使われている、マルティヤックの丘はパッチワーク状の砂利質土壌になっており

赤ワイン用品種のメルロや、白ワイン用品種のソーヴィニョン・ブラン、セミヨンにとって最適のテロワールです

白のみが認められているのが

白、クーアン

白、クーアン・リュルトン

白、ラヴィユ・オーブリオンです

1968年にクーアンとクーアン・リュルトンに分割されました

ラヴィユ・オーブリオンは、2009年以降はラ・ミッション・オーブリオン・ブランとしてリリースされています

グラーヴ地区は1級2級ではなく、格付けされているかいないかです

グラーヴの格付は全部で16シャトーです

「赤のみ」が7つ、「赤と白」が6つ、「白のみ」が3つです

メドック・グラーヴ格付けは、ソムリエ試験での難所ポイントの一つです

この横文字の丸暗記に挫折する人も少なくありません

ワインが好きで勉強を始めたはずですので、ひたすら61シャトー覚えるのではなく

シャトーの歴史やストーリー、また造られるワインの特徴をその地のテロワールと紐づけて自然に覚えていくことがポイントだと考えています

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