【概要】
全長1012㎞に及ぶフランス最大のロワール川流域に広がる産地です
1012㎞というと、北陸自動車道経由で「青森から京都」までの距離とほぼ同じなので、なかなか冗談じゃない距離ですよね
ロワール地方の中は、5つの地区に分けられます
ペイ・ナンテ地区
アンジュ&ソミュール地区
トゥーレーヌ地区
サントル・ニベルネ地区
中央高地地区
ロワール地方は比較的冷涼な気候で、白ワインが5割を占め、ロゼワインが3割、赤ワインが2割の比率です
河口近くは海洋性の気候で、上流に進むほど半海洋性、半大陸性へと変化していきます
(トゥーレーヌ地区辺りで、海洋性から大陸性に変わっていきます)
白の主要ブドウ品種はムロン・ド・ブルゴーニュ(=ミュスカデ)、シュナン・ブラン(=ピノー・ド・ラ・ロワール)、ソーヴィニョン・ブランです
ムロン・ド・ブルゴーニュは主にペイ・ナンテ地区
シュナン・ブランは主にアンジュー&ソミュール地区とトゥーレーヌ地区
ソーヴィニョン・ブランは主にサントル・ニベルネ地区
黒の主要ブドウ品種はカベル・フランネ(=ブルトン)、ガメイ、ピノ・ノワール、グロロです
カベル・フランネは主にアンジュ・ソミュール地区、トゥーレーヌ地区
ピノ・ノワールは主にアンジュ・ソミュール地区、トゥーレーヌ地区
グロロは主にアンジュー地区
フランス最長のロワール川の流れるロワール地方は、フランス王家とのゆかりも深く、ルネサンス様式の優美で壮麗(そうれい)なシャンボール城、
貴婦人の美しいシュノンソー城、フランソワ1世ゆかりのアンボワーズ城など、緑豊かな田園地帯に美しい城館が数多く点在しています
ロワール川に育まれた大地の恵みと貴族文化が栄えたことから、豊かな食文化も特徴です
【ペイ・ナンテ地区】
ペイ・ナンテ地区は、ロワール川の河口に近いナント市を中心とする地区です
ムロン・ド・ブルゴーニュ(=ミュスカデ)から造られる、爽やかな白ワインで知られています
ミュスカデの名前が付く4つのAOCは全て白ワインのみで、主要ブドウ品種はムロン・ド・ブルゴーニュ(=ミュスカデ)です
それぞれ、シュール・リーの表記が可能です
シュール・リーとは澱の上という意味です
醸造過程で発生した澱を底部に残した状態で、アルコール発酵後から収穫翌年3月1日まで熟成させる製法です
酵母由来の風味やアミノ酸の旨味をワインに与えることが出来、爽やかでフレッシュな香りを持つようになります
フランスのロワール地方発祥の醸造方法で、世界中で多く、日本の甲州種でも採用されています
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌは「ミュスカデ」の付くAOCの中で最大規模です
【アンジュー&ソミュール地区】
アンジュー&ソミュール地区は、アンジュー市の周辺から、約40㎞上流のソミュール市まで広がる地区です
赤、ロゼ、白、貴腐ブドウによる甘口白、発泡性ワインと多彩なスタイルのワインを生みます
赤・ロゼワインが有名な「~ンジュー系」①~⑤
主要品種はカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョンが主体です
カベルネ・ダンジュー(甘口)とロゼ・ダンジュー(わずかに甘口)はアンジューと同地区で造られます
コトー・ド・ローバンスからクーレ・ド・セラン⑥~⑩
まではシュナン・ブランで造られる白ワインのAOCです
(コト―が付くのは甘口)
コト―・デュ・レイヨンからボンヌゾー⑪~⑬
はレイヨン川の影響で発生する朝霧により、しばしば貴腐が生じます
シュナン・ブランで造られる甘口白ワインのAOCです
ソミュール⑭は赤、ロゼ、白とロゼの発泡、白の発泡が認められています
主要ブドウ品種は赤がカベルネ・フラン、白がシュナン・ブランです
【トゥーレーヌ地区】
トゥーレーヌ地区は、トゥール市を中心に、ソミュールの東側からオルレアンまで産地が広がっています
赤、白、ロゼ、発泡性ワインと、さまざまなスタイルのワインを産出しています
①トゥーレーヌは、トゥーレーヌ地区を包括する広域AOCです
赤、ロゼ、白、ロゼと白の発泡性が認められています
発泡性ワイン(ムス―)は瓶内二次発酵で造られます
赤ワインの比較で、②ブルグイユと④シノン(白も認められている)はライバル関係です
ブルグイユはフレッシュな果実味が特徴
シノンはタンニンが強く、しっかりとしたコクが特徴です
それぞれカベルネ・フランを主体とします
③サン・ニコラ・ド・ブルグイユのワインはブルグイユ、シノンと同じくカベルネ・フランを主体としますが、比べてワインの香りが強いことが特徴です
⑤ヴーヴレはフランスのほぼ中心、ロワール川の中域に位置します
白のみが認められていて、ブドウ品種はシュナン・ブラン単一で造られます
辛口から甘口、微発泡(ペティヤン)発泡性(ムス―)のワインまで認められています
ヴーヴレの気候はロワール川支流のシス川とブレンヌ川の影響を強く受け、川が合流する地域では霧が発生しやすくなります
その為、ワインづくりに影響する貴腐カビが発生しやすい場所なのです
川に面した南側の斜面には石灰粘土質のブドウ畑が広がり、傑出した白ワインが有名です
⑨コトー・デュ・ヴァンドモワは、赤、ロゼ、白のそれぞれが認められています
ロゼはヴァン・グリという、色の淡いロゼが特徴です
⑩シュヴェルニーは、赤、ロゼ、白のそれぞれが認められています
シュヴェルニーに内包される⑪クール・シュヴェルニーでは白のみが認められています
⑫オルレアンは、赤、ロゼ、白のそれぞれが認められています
オルレアンに内包される⑬オルレアン・クレリーでは赤のみが認められています
【サントル・ニベルネ地区】
サントル・ニベルネ地区は、ロワール川上流、フランスの中央部にあたる地域です
ロワール川とシェール川の流域にブドウ畑が広がっています
ソーヴィニョン・ブランから造られる白ワインが有名です
プイイ・フュメは白のみのAOCで、主要ブドウ品種はソーヴィニョン・ブランです
ロワール川の右岸で、スモーキーなニュアンスと厚みのある口当たり、豊かな果実味が特徴です
(フュメは煙や燻製を意味する言葉)
サンセールはロワール川を挟み、プイイ・フュメの対岸に位置しています
赤、ロゼ、白のそれぞれが認められています
(※語呂 : 3つ全て売っている =3sale)
【中央高原地区】
中央高地地区は、産地の多くが1990年代中旬から2010年にかけて、AOCに昇格したものです
中央高地帯は、半大陸性気候で夏と冬の気温差が比較的大きいことが特徴です
花崗岩、火山性土壌、石灰質など多様な土壌があります
白ブドウの主要品種は
シャルドネ
サシー
ソーヴィニョン・ブラン
黒ブドウの主要品種は
ガメイ
ピノ・ノワール
の栽培が多いです
全長1000㎞に及ぶ、ロワール川の流域に広がる広大な産地です
河口に近い地区と、上流の地区では気候や土壌の特徴も大きく変化する為、各地区で主要ブドウ品種も変わっていきます
5つの地区に分けてそれぞれの特徴を抑えていくようにしましょう
高級ワインは決して多くはない地域ですが、とにかく品揃えが多く、それぞれのテロワールに即したブドウが栽培されており、赤、ロゼ、白、スパークリング、貴腐など、非常にバラエティー豊富なワインが造られています
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