【プロフィール】
ボルドーという名前は「水のほとり」という意味の古語からきていると言われています
ジロンド県に流れるガロンヌ川と、ドルドーニュ川が合流したジロンド川が大西洋に注ぐ、まさにこの水のほとりで良質なワインが多く生産されています
ボルドーは大きく蛇行した形のため、月の港と呼ばれています
ボルドー大学の醸造学部の研究を中心に、世界最先端の醸造技術を駆使し、ワイン業界を牽引しています
赤ワインの生産が大半を占めていて、栽培面積はフランス第3位の約100,000ha、
A.O.Cの栽培面積は、フランス全体の約30%を占め、A.O.Cの生産地の中では最も広い産地です
【歴史】
1152年にイギリス王のヘンリー2世と、フランスの女性貴族が結婚したことで、ボルドー地方を含むフランス南部のアキテーヌ地方はイギリス領となります
その為、ボルドーはイギリスとの交易により反映した歴史があります
その頃は、今の赤ワインより色が淡い、クラレットと呼ばれるワインを造っていました
1453年にフランスは、100年戦争でアキテーヌ地方を取り戻します
終戦後、イギリスとの取引が再開されますが、小規模にとどまります
16世紀後半から17世紀にはいると、オランダとの取引が発展し、ボルドーは発展します
クラレットの他、オランダで蒸留するための辛口や、半甘口の白ワインを造り始めます
色の濃い赤ワインもこの頃から評価され始めます
また、オランダ人の干拓技術により、メドックの多くのブドウ畑が開発されました
18世紀には繁栄の時代を迎え、ボルドーにはこの頃に築かれた壮麗な建築物が多く立ち並んでいます
1855年のパリ万博で、ナポレオン3世の発案によってメドックの格付けが行われました
同じ頃、ウドン粉病、ベト病、フィロキセラの被害が蔓延し、生産量は低下、ネゴシアンは売上維持の為、混ぜ物をしたワインを造たり、産地詐称を行うようになりました
市場は混乱し、その為ボルドーの生産者はA.O.C法の制定を主導しました
【気候・土壌】
ボルドー地方は、北緯約45度に位置し、大西洋を流れるガルフ湾流(暖流)の影響で、緯度の割に温暖な海洋性気候です
大西洋とブドウ畑の間にはランドの森(松林)があるおかげで、強い海風からブドウ畑を守っています
収穫の秋には晴天が多いですが、年間降水量は約900mmと雨が多く湿度が高いため、灰色カビ病のリスクがあります
これは逆に貴腐ブドウを造ることに適した環境です
【主要ブドウ品種】
主要ブドウ品種は白が、ソーヴィニヨンブラン、セミヨン、ミュスカデルなど
黒がカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、カベル・フランネ、マルベック、プティ・ヴェルドなどです
ボルドー地方のワインは、ブルゴーニュ地方のワインとは異なり、複数のブドウ品種からワインを調合して作られます
ブドウは品種ごとに別々に収穫、発酵され、熟成に入る前段階で調合されます
【ワイン生産地区】
ジロンド川左岸の地区をオー・メドック地区、メドック地区といいます
カベルネ・ソーヴィニョン主体で造られる、赤ワインのみのエリアです
ジロンド川右岸の地区をコート地区(一部)といいます
メルロとカベルネ・ソーヴィニョン主体で造られる赤ワインと、
ソーヴィニョン・ブランとセミヨン主体で造られる白ワインのエリアです
ガロンヌ川左岸の地区をグラーヴ地区と、ソーテルヌ地区といいます
グラーヴ地区は、カベルネ・ソーヴィニョン主体の赤ワインと、ソーヴィニョン・ブラン主体の白ワインのエリアです
ソーテルヌ地区は、セミヨンとソーヴィニョン・ブラン主体の甘口白ワインのエリアです
ガロンヌ川とドルドーニュ川の間の地区をアントル・ドゥー・メール地区といいます
ソーヴィニョン・ブランとセミヨン主体の白ワインのみのエリアです
ドルドーニュ川右岸の地域を、サン・テミリオン地区、ポムロール地区、コート地区(一部)といいます
サン・テミリオン地区、ポムロール地区は、メルロ主体の赤ワインのみのエリアです
コート(一部)地区は、メルロ、カベルネ・ソーヴィニョン主体の赤ワインと、ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン主体の白ワインのエリアです
【A.O.C】
ボルドー地方のA.O.Cは、ボルドーと指定された全域で造ることが出来ます
多くはドルドーニュ川とガロンヌ川で挟まれたアントル・ドゥー・メール地区のエリアで造られます
メドック地区で造られた白ワインなど、A.O.Cの規格から外れたワインをこのカテゴリーに格下げすることも出来ます
ボルドー・シュペリュールは、赤ワインと、半甘口の白ワインが認められています
ボルドーと同じエリアで造られますが、生産条件が厳しいものになります
ボルドー・クレレは、黒ブドウのみから造る濃いロゼワインのA.O.Cです
クレマン・ド・ボルドーはロゼと白の瓶内二次発酵の発泡性ワインのA.O.Cです
(9ヵ月瓶内熟成、最低アルコール度数11%)
【格付け】
メドック地区の格付けは、1855年のパリ万博の際にナポレオン三世の発案によりボルドー市の商工会議所によって制定されました
現在では1級~5級まで61のシャトーが格付けされています
全て赤ワインのみで、主要品種はカベルネ・ソーヴィニョン主体で造られます
グラーヴ地区の格付けは、メドック地区の格付けからほぼ100年後の1953年に発表され、1959年に承認されました
グラーヴ地区の格付けは1級2級などではなく、格付けされているかいないかです
赤ワインが7つ、赤・白ワインが6つ、白ワインが3つの合計16のシャトーが格付けされています
格付けの中のシャトー・オー・ブリオンは1855年のメドック地区の格付けと、このグラーヴ地区の格付けの両方で選出されています
A.O.C名は全てペサック・レオニャンです
ソーテルヌ・バルサック地区の格付けは、1855年のパリ万博の際、メドック地区の格付けと共に制定されました
現在は、特1級(1)、1級(11)、2級(15)まで、27のシャトーが格付けされています
ワインは全て貴腐ワイン(甘口・白)で主要品種はセミヨンです
特1級に唯一選ばれている、シャトー・ディケムは、世界中の甘口白ワインの中で最高峰と評されるワインです
サン・テミリオン地区の格付けは1855年のメドック地区の格付けから100年後の1955年に制定されました
メドック地区の格付けと大きく異なる点は10年に一度見直される点です
最新の格付けは2012年の省令で公認されたもので、プルミエ・グランクリュ・クラッセAが4、プルミエ・グランクリュ・クラッセBが14、グランクリュ・クラッセが64
合計82のシャトーが認定されました
この時、プルミエ・グランクリュ・クラッセAにアンジェリュスと、パヴィーの2つがプルミエ・グランクリュ・クラッセBから昇格をしました
全て赤ワインのみで、主要品種はメルロです
シャトー・シュヴァル・ブランのみ、カベルネ・フラン主体で造られます
ポムロール地区には他の地区のような格付けはありませんが、優良生産者が多く存在しています
全て赤ワインのみで主要品種はメルロです
【おわり】
ボルドー地方は、ブルゴーニュ地方と並ぶワインの銘醸地です
赤、白、ロゼ、スパークリングと幅広くワインが生産されています
そして、甘口の貴腐ワインも世界的に有名です
どのタイプのワインも、複数の品種をブレンド(アッサンブラージュ)して味わいのバランスを取るのがボルドー・ワインの醸造ポイントです
格付けされているシャトーは、全てを覚える必要はありませんので、内容でご紹介した特徴あるものを中心に覚えていきましょう
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