【地域・特徴】
アルザス・ロレーヌ地方は、フランス北東部に位置し、ドイツと国境を接するワイン産地です
かつては、フランスとドイツの2国間でその領有権がしばしば争われましたが、
第二次世界大戦後、フランス領に復帰し、現在に至ります
白ワインの生産が90%以上と大半を占めていて、生産されるブドウ品種や伝統料理は、
ドイツとの類似点が多いことも特徴の一つです
ブドウ畑はヴォージュ山脈の東側にあり、南北約100kmに広がります
このヴォージュ山脈が西から吹く冷たい偏西風を遮(さえぎ)り高緯度の割には温暖であり、山脈西側で雨を降らせるため、アルザス地方はフランスで最も降水量が少ないワイン生産地です
【主要ブドウ品種】
主要ブドウ品種は、白はピノ・ブラン(=クラヴネール)、リースリング、ミュスカ、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリ、シルヴァネール、シャスラ(=グートエーデル)、オーセロワ
黒は、ピノ・ノワールです
アルザス地方のワインは、ドイツワイン等と同じく基本的には単一品種のブドウから造られます
高品質ワインを生み出す主要ブドウの種類としてリースリング、ミュスカ、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリがあげられます(上質指定4品種)
【A.O.C.】
A.O.C.は3つだけですので簡単です
アルザスは、赤、ロゼ、白が認められていて、使用ブドウ品種は、
上質指定4品種の、リースリング、ミュスカ、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリに
ピノ・ブラン、シルヴァネール、シャスラ、ピノ・ノワール等が認められています
アルザス地域全体で造られる、広域A.O.C.です
単独品種の場合は品種名を、
複数品種の場合は「エデルツヴィッケール」や「ジャンティ」などと表記されます
エデルツヴィッケールとは、複数の白品種の混醸、またはアッサンブラージュの場合に表記することが可能です
一方ジャンティでは、混醸は認められていません
【混醸とアッサンブアージュの違い】
混醸は畑全体のタイミングを見て収穫するため、そこですべてのバランスが決まります
そのため、その土地、品種への理解が深く必要になり、出来上がったワインには、よりテロワールが表現されると考えられています
一方アッサンブラージュはそれぞれの品種にあったタイミングで収穫し、出来上がったワインを好ましいと思うバランスに調整するため、造り手のイメージしたワインに組み立てることが出来ます
反面、人の及ぼす影響は大きくなります
アルザス・グランクリュは、アルザス全体の4%と希少な高品質ワインを産みます
白ワインのみが認められていて、主要ブドウ品種は、
上質指定4品種の、リースリング、ミュスカ、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリです
51のリューディー(小区画)がアルザス・グランクリュを名乗ることができます
全て手摘みでの収穫が義務付けられていて、単一品種で造られることがほとんどです
【51のリューディー】
51全てのリューディーを覚える必要はありませんが、次の例外的な3つは抑えておきましょう!
一つ目の、ゾッツェンベルグは、例外的にシルヴァネールの使用が認められており、ミュスカが認められていません
使用可能品種は、
リースリング、シルヴァネール、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリの4品種となります
二つ目の、アルテンベルグ・ド・ベルグハイムは、単一品種がほとんどの、アルザス・グランクリュで複数品種のアッサンブラージュが認められています
リースリング、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリによる単一品種か、(ミュスカは認められていない)
または、リースリングを主要として、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリのアッサンブラージュが認められています
三つ目の、ケフェルコプフは、単一品種がほとんどの、アルザス・グランクリュで複数品種のアッサンブラージュが認められています
リースリング、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリによる単一品種か、(ミュスカは認められていない)
または、ゲヴェルツトラミネールを主要として、リースリング、ピノ・グリ、(ミュスカアプティグラン、ミュスカロゼアプティグラン、ミュスカオットネル)のアッサンブラージュが認められています
クレマン・ダルザスは、ロゼと白の発泡性ワインのA.O.C.です
ロゼはピノ・ノワール100%で造られます
瓶内二次発酵で、澱と共に9カ月以上の熟成が義務付けられています
フランス国内で消費されるクレマンの中で第一位をほこります
【ヴァンダンジュ・タルディブとセレクション・ド・グラン・ノーブル】
収穫時の果汁糖分最低含有量を一定の基準で満たし造られた甘口ワインに対して、
ヴァンダンジュ・タルディブとセレクション・ド・グラン・ノーブルの表記が認められています
上質指定4品種のみの使用が認められており、ブドウは手摘みが義務、少なくとも収穫翌年の6月1日までの熟成が義務付けられています
ゲヴェルツトラミネールとピノ・グリは、糖度が上がりやすい品種の為、規制糖度が高く設定されています
ヴァンダンジュ・タルディブは1ℓあたり270g
セレクション・ド・グラン・ノーブルは1ℓあたり306g
リースリングとミュスカの
ヴァンダンジュ・タルディブは1ℓあたり244g
セレクション・ド・グラン・ノーブルは1ℓあたり376g
コカ・コーラの糖分量が1ℓあたり113g程度なので、相当甘いですよね
(ジュースの糖と同じ理屈で考えていいのかな?詳しい人教えてください!)
【ロレーヌ地方】
ロレーヌ地方は、アルザスの西に隣接し、かつては鉄鋼業で繁栄した地域です
ワインの生産量は、アルザスの約1%とかなり小規模な産地です
この産地のA.O.C.コート・ド・トゥールで造られる、グリと呼ばれる、ガメイとピノ・ノワール主体で造られる、色の淡いロゼが特徴的です
アルザスで造られるワインの90%以上は白ワインです
リースリング、ミュスカ、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリの上質指定4品種をはじめ、多くの品種が栽培されており、多くの場合単一品種で造られます
その他にも、「ヴァンダンジュ・タルディブ」、「セレクシオン・ド・グラン・ノーブル」といった甘口ワインや、
クレマン・ダルザスなどの瓶内二次発酵で造られるスパークリングワインが魅力です
アルザス地方では自然派の生産者が多く、天然酵母を使用し、
発酵・熟成にはステンレスタンクや長年使用された大樽を用いるなど、豊かな酸とフレッシュな果実味を活かしたワインが生み出されています
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