【地図】
国境はスペイン、イタリア、スイス、ドイツ、ベルギーに接しています
緯度は、北緯42度から北緯51度に位置しています
緯度的には、日本の北海道からサハリンに及ぶ位置にあります
北緯30度から50度、南緯20度から40度の、ぶどう栽培、ワイン醸造に適したワインベルトと呼ばれる地域の中に位置しています
【気候】
暖流の北大西洋海流の影響で、緯度の割にそこまでの寒さがないのが特徴です
大陸性気候は、昼夜の気温差が大きく、夏と冬の気温差が大きいことが特徴です
➡地方では、ロワール上流、ブルゴーニュ、アルザスなどが該当します
海洋性気候は、気温の比較差が少なく、降水量が多く湿度が高いことが特徴です
➡地方では大西洋に近い地域、ロワール川下流、ボルドー地方などが該当します
地中海性気候は、温暖で夏は日照量が多く乾燥することが特徴です
➡地方では地中海に近い地域、ラングドック、プロヴァンス、南部ローヌなどが該当します
【ワイン生産】
生産量ではスペインやイタリアと世界一を争うワイン大国です
銘醸地が多いので産地とワインの結びつきが強いのが特徴で、フランスのワイン法AOCという原産地統制呼称は、EUの共通ワイン法であるAOPやDOPの基礎となっています
フランスには国で定められたワイン法があり、2008年までは”AOC法”、2009年からは”AOP法”と呼ばれています
【主な地方】
“北部”、“西部・南西部”、“東部”・“南東部、南部”の4地方に分けてみていきます
北部は、緯度が高く、冷涼な気候です
シャンパーニュ地方、ロワール地方、アルザス・ロレーヌ地方が含まれます
パリがあるのもこのエリアです
西部・南西部は、ボルドー地方、南西地方が該当します
ボルドー以外も赤ワインに産地として有名で、南西地方のカオールはマルベックを使ったワインの名産地です
現在ではマルベックを使ったワイン産地としてアルゼンチンが有名ですが、元々はフランスで人気の品種でした
ボルドーから南西地方までのこのエリアでは、果実味豊かで渋味のあるワインが造られます
東部・南東部は、ジュラ・サヴォワ、ブルゴーニュ・ボージョレ、ローヌと個性派ぞろいのエリアです
世界一高級なワインと言われるロマネコンティや、日本でも馴染みのボージョレ・ヌーヴォーが生まれたのもこの産地です
ジュラ地方ではヴァンジョーヌと呼ばれる黄色ワインが個性を発揮しており、
ブルゴーニュは気品溢れるエレガントなワインの銘醸地です
ローヌでは黒コショウを想わせるスパイシーなワインが生み出され、
ボージョレではフルーティーなワインが主に生産されます
南部は、地中海の影響で年間を通じて温暖で快適な気候です
そのため、ニースやコートダジュールなど、世界的に有名なリゾート地があります
このエリアには、プロヴァンスとラングドック・ルーション地方が位置します
恵まれた環境を活かしワイン造りが行われ、プロヴァンスでは世界生産量の6%を占めるほどのロゼワインの産地でもあります
ラングドックは、フランス1位のワイン生産地です
【歴史】
・紀元前6世紀ごろに、古代ギリシア人によって、現在のマルセイユにブドウ栽培が伝わったとされています
・1世紀頃にローヌにブドウが植えられ、ブドウ栽培がボルドー、ブルゴーニュなどフランスの各地に広がりました
・4世紀ごろまでには冷涼なシャンパーニュまで伝わったとされています
・中世にキリスト教の布教とともに、フランス中にワインが広がりました
・19世紀には産業革命の経済発展に伴いワイン産業も隆盛になりました
・19世紀後半には、ベト病やウドンコ病、フィロキセラによる被害が拡大しました
➡蒸気機関が発展したことで、世界が狭くなり、ブドウの病気が蔓延してしまいました
ベト病は、ブドウ以外の野菜などにも発生するもので、葉っぱにカビが生える病気です
ウドンコ病は、は全体がうどん粉をまぶしたように薄っすら白いカビが生える病気です
フィロキセラは、体長1mmくらいの小さい虫なのですが、こいつがブドウの木につくと根っこから全部ダメにしちゃうという最悪の虫です
19世紀後半、フランスワインの生産量の3分の2が、このフィロキセラによって失われ、多くのワイナリーが廃業に追い込まれました
・1910年~1930年代は、第一次世界大戦の影響を受けて、産地偽装などの不正や粗悪なワインの流通が横行するようになりました
・1935年原産地統制呼称、AOCが制定されました
ワイン産業にさまざまな悪い事態が発生した背景をうけて、AOCは誕生しました
・2009年にヴァン・ド・ペイの管轄がINAOに移管されIGPに
・2011年にVDQSがAOCに昇格またはIGPに吸収される形で廃止となりました
【ブドウ品種】
白ブドウの主要品種は
1位 ユニ・ブラン(84,000ha)
2位 シャルドネで(48,000ha)
3位 ソーヴィニョン・ブラン(30,000ha)
4位 セミヨン
5位 ミュスカデです
黒ブドウの主要品種は
1位 メルロ(114,000ha)
2位 グルナッシュ(85,000ha)
3位 シラー(66,000ha)
4位 カベルネ・ソーヴィニョン(50,000ha)
5位 カリニャン(37,000ha)です
東京都全体で21万ヘクタールほどですので、メルロは東京都の半分くらいの広さで栽培されていることになります
白ブドウ、黒ブドウとも1位の品種はしっかりと押さえるようにしましょう!
【ワイン法】
フランスワイン法は図のように3段構成になっていて
一番上に位置するのが
AOC、原産地呼称保護です、EUの分類でAOPになります
二番目に位置するのが、IGP、地理的表示保護です、EUの分類でIGPになります
3番目にVDF、地理的表示のないワインです、EUの分類でVSIGになります
AOC、原産地統制呼称は1935年に制定されました
AOCを名乗る為にはその規定に従って栽培、醸造をしなければなりません
規定はブドウ栽培の他、ブドウ品種、最大収量、最低アルコール度数、剪定方法、醸造方法など細かく定められI.N.A.Oイナオが管轄しています
I.N.A.Oは国立原産地名称研究所の訳で、ワインの原産地名称を保護するためのフランスの公的機関です
ソムリエ試験でのフランスからの出題範囲は最も多く、例年では10%程度(10問~12問)を構成しています
範囲が広い分マニアックな内容は出にくいですので、オーソドックスな内容をしっかり押さえていきましょう!
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