【独学】シャンパーニュ ソムリエ試験対策

ソムリエ試験対策

【概要】

フランスの中でも最北のワイン生産地で、パリから北東約140kmの位置にあります

その位置や平坦地であることから、戦場になることが多い土地でもありました

AOCは34,000haで、その内の7割はマルヌ県が占めています

シャンパーニュ地方はなだらかな丘陵(きゅうりょう)が連続する土地です

特有の石灰質土壌のみならず、栽培地域の傾斜角度や、南向き、東向きなどの方角、風の流れなども、テロワールの重要な要素となっています

北部に位置し、冷涼であるため、ブドウ栽培には厳しい条件なのです

しかし、大西洋気候の影響で、降雨量が安定し、季節ごとの温度変化が少ないという特徴と、

大陸性気候の影響で、夏期には程よい日照をもたらします

この二つの気候の影響が、テロワールの大きな特徴といえます

【歴史】

・紀元前に、ローマ帝国の領土の一部であったこの地域にワイン造りが伝来したと言われています

この時期はもちろん発泡性のワイン製造技術は無いため、赤ワインが造られていました

フランスにワイン造りの技術が伝わったのが、紀元前600年ごろと言われていますので、フランスワインの歴史の中でも比較的初期から製造されていたことになりますね

因みに、フランスにワイン造りの技術を伝えたのは、一部のギリシャ人が、南フランスのマルセイユに移り住み、その際にもたらしたと言われています

・9世紀ごろに、シャンパーニュ地方のワイン人気が高まり、特にランスのワインは王の戴冠(たいかん)式用のワインとして威厳を持っていました

戴冠(たいかん)式は、王冠を頭にいただいて即位を告げる儀式のことですね

初期のころから、シャンパーニュはその味わいと繊細さが高く評価され、この地方を訪れる国王にはこのワインが捧げられました

1680年ごろに、修道士であるドン・ペリニヨンが泡を瓶に閉じ込める製法を確立させ、複数年のリザーヴワインをアッサンブラージュする醸造法も生み出します

これがスパークリングワインの歴史の始まりと言われています

最初に、スパークリングワインの製法を発明したのは、修道士のドン・ペリニヨンで、あの有名なシャンパン、ドン・ペリニョンの名前の由来もこの人物からきています

リザーヴワインは、いい葡萄が収穫された年に造られた優れたブレンド用のワインのことです

様々なシャンパンのブレンドの基礎となりますので、リザーヴワインをどれだけ確保できるかが、シャンパン造りに大きな影響を与えます

寒い産地であるシャンパーニュは、ぶどうの質を毎年安定させることが難しいとされています

その為、最新ヴィンテージのものに保管してあるリザーヴワインを加えることで、毎年変わらない品質のシャンパーニュを製造することが可能になります

アッサンブラージュは、フランス語でブレンドを意味する言葉です。

その為、最新ヴィンテージとリザーヴワインをブレンドすることをアッサンブラージュといいます

このブレンドの比率が、それぞれのシャンパーニュの味わいを大きく左右するといわれています

1728年、瓶詰めワインの輸送許可が出てからは、世界中で愛される存在となりました

ルイ15世によりそれまでの流通のネックだった瓶での輸送の禁止が解かれたことで隆盛に弾みがつきます

最古のシャンパンハウス「ルイナール」に続き、「テタンジェ」「モエ・エ・シャンドン」「ランソン」「ドゥラモット」「ヴーヴ・クリコ」「ルイ・ロデレール」など現在まで続く名立たる老舗(しにせ)メゾンが登場したのもこの頃です。

2015年、「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」がユネスコの世界遺産に登録されました

メゾンとは醸造所のこと、カーヴとは貯蔵庫のことです

世界遺産に登録されたのは、シャンパーニュ地方の3つの丘陵を中心とした14地点の丘、葡萄畑、通り、メゾン、カーヴ等です

この世界遺産の範囲は5つの県にまたがる大変広いものです

シャンパーニュワインを生んだこの地方のブドウ栽培・ワイン製造の文化的景観の普遍的価値が登録理由と言われています

【ブドウ品種】

ぶどう品種はシャルドネ・ピノノワール・ムニエの3品種が基本で、実際に栽培されているブドウの99%がこの3品種からの構成です

シャルドネは、主な栽培地域を、コート・デ・ブラン地区とコード・ド・セザンヌ地区で、繊細で新鮮味のあるワインをうみます

ピノノワールは、主な栽培地域を、モンターニュ・ド・ランス地区とコート・デ・バール地区で、ワインにボディと骨格をもたらします

ムニエは、主な栽培地域を、ヴァレドラ・マルヌ地区で、フルーティーでしなやかなワインをうみます

シャンパーニュ地方はシャルドネ・ピノノワール・ムニエの3品種が有名ですが、実はもう4品種認められている品種があります

シャンパーニュ地方の全栽培面積の1%にも満たない、ものなのでかなりマニアックな内容として参考までにご紹介します

ピノグリ

ピノノワールとDNAが非常に似通った突然変異種で、シャンパーニュ地方における現在作付面積は2ha程です

フランス国内だとアルザス地方、また北イタリアで栽培が多い品種です

東京ドームの大きさが4.6haなので、かなり小規模なことがわかりますね

ピノブラン

ピノノワール種が突然変異したピノグリ種が更に変異した白ブドウ品種と言われています緑がかった黄色い果皮、林檎や柑橘類と白い花のアロマ、非常に柔らかい果実味が特徴です

プティメリエ

シャンパーニュ地方に存在する古代品種で、シャルドネの親品種といわれています

現在作付面積は3-4ha程です

アルバンナ

プティメリエ同様、シャンパーニュ地方に古くから伝わる品種で、かつては南部を中心に栽培されていましたが、現在はコート・デ・バールを中心に1-2ha程が栽培されているのみの品種です

【主な産地】

コート・デ・ブラン地区は、気候は他のシャンパーニュ地方同様大西洋の影響を受ける大陸性気候に属しています

年間平均気温は10度と冷涼です

ブドウが成熟する最低温度でシャンパーニュの生産に不可欠な高い酸のあるブドウ造りを可能にさせています

世界一密度の高い石灰質土壌で東斜面に連なる畑が、ブドウ栽培に適した素晴らしい条件を兼ね備えています

コート・ド・セザンヌ地区は、シャンパーニュ地方の中では南に位置している為、比較的温暖な地域です

土壌は白亜紀後期の白亜質と粘土質の混成土壌で構成されています

モンターニュ・ド・ランス地区は最も北に位置していますが、地形の特徴から豊富な日照量を得られるため、良質なブドウ栽培が可能となっています

この地域のグラン・クリュから取れるピノノワールの品質が非常に高い事で有名です

コート・デ・バール地区は、以前はガメイが多く作られていた歴史もあります

土壌は他のシャンパーニュに多く見られる白亜紀のチョーク土壌ではなく、ジュラ紀のキンメリジャン土壌です

その為、シャルドネの栽培に適しそうですが、上質なものはピノノワールが有名です

ヴァレドラ・マルヌ地区は、石灰岩と泥灰岩、粘土質、砂質と多様な土壌から構成されています

褐色土壌もあり、適度な水はけのよさと保水性を持っています

谷が多く湿度が高いため、霜の害も受けやすいので開花が遅くて収穫が早く、病害にも強いピノ・ムニエが多く栽培されています

【A.O.C.】

シャンパーニュ地方のAOCは3つだけですので簡単です

1つ目はシャンパーニュです

ロゼと白の発泡性が認められています

シャンパン、シャンパンってよく耳にするあれですね

2つ目はコトー・シャンプノワです

赤、ロゼ、白の非発泡のスティルワインが認められています

3つ目はロゼ・デ・リセです

ピノノワールのみで造る非発泡のロゼワインが認められています

シャンパーニュと聞くと発泡性のワインが頭に浮かびますが、赤、ロゼ、白のAOCも存在しています

17世紀中旬の発泡ワインの製法が定着するまでは、赤ワインの生産でブルゴーニュ地方と肩を並べていた歴史もあります

現在では発泡性のワインの生産が9割を占めますので、かなりレアなワインですね

AOCシャンパーニュの規定についてみていきます

【A.O.C.シャンパーニュの規定】

・厳しく制限された生産地域は1927年制定の法律で定められた34,300ヘクタールの生産地域にあたります

・ブドウ品種はシャルドネ、ピノノワール、ムニエ、ピノブラン、ピノグリ、アルバンヌ、プティメリエが認められています

特に主要なシャルドネ、ピノノワール、ムニエ、この3品種はしっかりと抑えておきましょう!

・ブドウの木の剪定方法はシャブリ、コンドル、ギュイヨー、ヴァレ・ド・ラ・マルヌで行われます

シャブリ方式は主枝(しゅし)を長くし新梢(しんしょう)を短く剪定する方法

コルドン方式は主枝一本を長く伸ばし、短梢(たんしょう)剪定する方法

ギュイヨー方式は短い主枝に新梢を長く剪定する方法

ヴァレ・ド・ラ・マルヌ方式はムニエの栽培のみに使われますが、主枝を短くし、新梢を長く剪定する方法です

剪定の第一の目的は、花芽に樹液が十分に行き届くようにすることです

樹液は葉を勢いよく成長させるので、すべての芽に平均して樹液が行きわたるようにすることが欠かせないです

ただし、過剰な樹液は結実を妨げてしまいますので、葉の成長と結実という両面を上手に両立させることで、理想の品質にたどり着くことができるようになります

このバランスを得る為に、それぞれに合った適切な剪定方式を選んでいきます

・1ヘクタール当たりのブドウ収穫量が制限されています

ブドウに十分な成熟を促すことで、高い品質が得られます

・圧搾で搾る搾汁量が決められています

果肉をきつく搾ほど、雑味や苦みなどが出てきます

それを避けて搾汁の際に最初の方に搾られる良質な部分だけを使用しているのです

・収穫時における最低潜在アルコール度数が決められています

これはブドウ果汁の糖度を測る指標です

醸造段階でブドウの糖度がアルコール発酵へと変化しますので、この段階での選定が良質なアルコール発酵の決め手となります

・瓶内二次発酵と瓶内熟成期間が決められています

ノンヴィンテージで15か月間、ヴィンテージで36カ月間の最低熟成期間があります

瓶内二次発酵っていうのは、一般的な白ワインを造り、その中に酵母とショ糖を入れて瓶詰めを行う製法です

これによって、瓶内で酵母はショ糖を食べて炭酸ガスとアルコールが生成されます

白ワインを瓶内でもう一度発酵させるため、瓶内二次発酵と呼びます

炭酸ガスが液中に溶け込みますので、きめ細かくクリーミーな高品質な泡に仕上がることが特徴です

【グラン・クリュ】

シャンパーニュには、グラン・クリュを名乗ることができる17の村があります

(グラン・クリュは格付け100%の村の畑のブドウだけで造ったシャンパーニュ)

(プルミエ・クリュは格付け90%以上の村の畑のブドウで造ったシャンパーニュ))

コート・デ・ブラン地区では、シュイイ、オジェ、クラマン、アヴィーズ、オワリー、ル・メニシュール・オジェの6つのグラン・クリュがあります

シュイイは地区の中で最も北に位置しています

サランの丘のぶどう品質が最も高く、ほぼモエ・シャンドン社が持っています

この区画の大部分をドンペリ造りに使用しています

ル・メニシュル・オジェのぶどうを使ったシャンパンとして、特に有名なのがサロンです

ブドウの作柄が最高に良かった年にしかつくられないため、幻のシャンパンと言われています

サロンは、ブランド・ブランのシャンパーニュとして有名です

ブランド・ブランっていうのは、直訳で白の白ですので、その名の通り原則シャルドネ100%だけからつくられたシャンパーニュのことをさします

この反対がブランドノワールです

ブランドノワールは、一般的にピノノワール100%で造られた無色のシャンパーニュのことをさします

ヴァレドラ・マルヌ地区では、アイ、トゥール・シュール・マルヌの2つのグラン・クリュがあります

全体で栽培するブドウはムニエ主体ですが、グラン・クリュの二つは例外的で、ピノノワール主体で造られます

モンターニュ・ド・ランス地区では、アンボネー、ボーモン・シュール・ヴェル、ブージー、ルーヴォワ、マイイ、ピュイジュー、シルリー、ヴェルズネー、ヴェルジーの9つのグラン・クリュがあります

ブージーはコトー・シャンプノワ、赤ワインの質も高いことで有名です

マイイではリュシアン・ロゲというマイイのみからシャンパーニュを造るレコルタンマニプランプランが有名です

レコルタンマニプランは、農家自らがぶどう栽培から瓶詰めまでを行うシャンパーニュメゾンのことです

小規模なつくり手が多く、自社農園で採れたぶどうでつくっています。その為、希少性が高く、個性的なものが多いことが特徴です

この反対が、ネゴシアンマニプランです

ネゴシアンマニプランは、自社ブドウと栽培農家から買い付けたブドウで醸造・販売を行っているメゾンのことを指します

 自社畑を持たず使用ブドウの全てを栽培農家から買い付けるメゾンもあります

シャンパーニュではネゴシアンマニプランの方が一般的で、モエ・エ・シャンドン、ペリエ・ジュエ、テタンジェ、ヴーヴ・クリコ、ポール・ロジェなど有名な生産者はすべてネゴシアンマニプランです

ピュイジューとシルリーは隣通しの村です

ヴェルズネーは、モンターニュ・ド・ランスの中でも特に品格、偉大さを感じます

もともと近寄りがたいシャンパーニュの中でもより高貴で近寄りがたい風格があります

【シャンパーニュの醸造】

■収穫(ヴァンダンジュ)

収穫は通常9月半ばから10月初旬に開始します

シャンパーニュ地方全域で手摘みが義務とされています

■圧搾(プレシュラージュ)

シャンパーニュ地方独特の圧搾機で、黒ブドウの皮の色がつかないように静かに搾ります

キュヴェと呼ばれる一番搾りは、酸の豊富なピュアな果実で長期熟成に耐えることができます

キュヴェは、4,000kgのブドウから最大2,050L搾汁することができます

タイユと呼ばれる二番搾りは、酸が少なくフルーティーな印象をもつが、長期熟成には向きません

タイユは、一番搾りを終えたブドウから、更に最大500L搾汁することができます

(4,000kgのブドウから合計で2,550L搾汁可能)

■果実清澄(デブルバージュ)

圧搾により得た果汁をタンクに入れ、12~24時間置き、果汁に含まれていた不純物を沈殿させ、果汁を発酵タンクに移します

■アルコール発酵

ブドウを品種、産地ごとに分けて圧搾し、清澄の済んだ果汁を、樽またはタンクでアルコール発酵(およそ10日~15日)させ、スティルワインを造ります

■アマロラクティック発酵

ルコール発酵後、任意でマロラクティック発酵を行います

味わいにフレッシュさを残すために、あえて避ける場合もあります

■調合(アッサンブラージュ)

収穫年の翌年春頃にヴァン・ド・レゼルヴァ(=前年までの収穫のもので貯蔵してあるワイン)を含め、一次発酵で得たワインを調合します

■瓶詰(ティラージュ)

リキュール・ド・ティラージュを添加し、王冠を打栓します

リキュール・ド・ティラージュは、瓶内二次発酵を起こすために、瓶詰の際に加える、

ワイン+酵母+ショ糖の混合液です

■瓶内二次発酵

瓶の中で酵母が糖を分解し、アルコールと二酸化炭素を発生させます(スティルワイン→発泡性ワイン)

およそ6~8週間で二次発酵が終わり、役割を終えた酵母は澱となって沈殿します

■瓶内熟成(マセラシオン・シュル・リー)

二次発酵後のシャンパンはボトルを水平にして、暗くて涼しい熟成庫で保管します

役目を終えた酵母は自己消化を起こして、ワインの中にアミノ酸が溶け込み、まろやかな味わいになり、複雑な香味が醸成されます

■倒立(ミズ・シュル・ポワント)

ピュピトルと呼ばれる澱下げ台に瓶口を下に向けて並べます

■動瓶(ルミアージュ)

およそ2~12週間、ピュピトルに倒立(とうりつ)させている瓶を1/4回転ずつ左右に揺らしながら回し傾け、瓶の側面にある澱を瓶口に集めます

(現在ではジオパレットという機械で行うことも多い)

■澱抜き(デゴルジュマン)

瓶口を-27℃の塩化カルシウム水溶液につけ、溜まった澱を凍らせ、栓を外して澱を飛び出させます

■糖分調整(ドザーシュ)

リキュール・デクスペディション(:門出のリキュール=ワイン+糖分)を加え、目減り分を補い、最終的な甘味の調整を行います

糖分添加量により甘辛度が決定します(:図参照)

■打栓(ブシャージュ)

コルクを打ち込み、金属製の止め板と針金を合わせたミュズレで固定します

糖分調整のリキュールが馴染むまで十分に寝かせてから出荷します

シャンパーニュは、AOCやぶどう品種は他の産地と比べてかなり限定的ですので、比較的覚えやすいと思います

その分、歴史や文化が深く洗礼されており、魅力を持つ産地の一つですので、そのあたりも深堀ながら楽しんで学んでいきましょう!

AOCの規定や、シャンパーニュならではのルール、醸造工程はしっかりと抑えておきましょう!

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