【Port(ポート)】
Port(ポート)ワインは、ポルトガルのドウロ地方でつくられる酒精強化ワインで、Madeira(マデイラ)ワインとともに世界三大酒精強化ワインに数えられます
【Port(ポート)特徴】
Port(ポート)の生産には、Touriga Nacional(トウリガ・ナショナル)などを代表して、80種類以上のブドウ品種が認められています
Cadastro(カダストロ)とは、ポートワインの原料となるぶどうを栽培する畑に対する格付けのことです
地域と結びついた気候条件や土壌、品種、栽培条件をさらに分類し、その持ち点の合計によりA~Fの6段階に格付けされています
Port(ポート)はアルコール発酵途中にグレープ・スピリッツ(77度)を添加して造られます
アルコールの添加量は、目的とするワインの度数と糖度によって計算されます
Vila Nova de Gaia(ヴィラ・ノヴァ・ガイア)は、Port(ポート)ワイン産業の拠点の街です
1926年以降、Port(ポート)はこの街で熟成され出荷される決まりになっていましたが、
1986年以降、ブドウ生産地で熟成し、出荷することが認められました
【Port分類】
Portは、Red Port、White Port、Rose Portに分類されます
また、基本的にPortのアルコール度数は19度~22度と規定されています
主となって生産されているのは、Red Portで、「ルビータイプ」と「トゥニータイプ」に区別されます
【Red Port】
ルビータイプは、通常のワインと同じように短期間の樽熟成をして出荷されます
平均3年間の樽熟成後に瓶詰めされる若いタイプのPortワインです
比較的リーズナブルでフレッシュな果実味が味わえるものから、100年以上の熟成が可能と言われている高級なヴィンテージ・ポートまでさまざまです
深みのあるガーネット色で、ブラックベリーやプラムなどの果実味と豊かな甘味があり、スパイシーなエレガントな香りを楽しめます
トゥニータイプは、小樽で長期酸化熟成させたものです
長期熟成によりワインが黄褐色(=Tawny)になった様子に由来しています
トゥニータイプは、ドライフルーツやナッツ、カラメルなどの甘くて香ばしい風味や
熟成感が楽しめ、澱は瓶詰め時に取り除かれるのでボトル内にはありません
【White Port】
White Portは、代表的なものにLight Dry White Port(ライト・ドライ・ホワイト・ポート)があります
Light Dry White Port(ライト・ドライ・ホワイト・ポート)とは、白ブドウを原料として、低温で通常より長めの醗酵後に酒精強化し、比較的辛口に仕上げたタイプです
例外的に最低アルコール度数が16.5度で認められています
【Rose Port】
Rose Portは、新たにフルーティーな早飲みタイプとして認定された、アルコール19度程度に仕上げるフレッシュなスタイルです
黒ブドウを原料として、低温で短時間のスキンコンタクトによりタンニンの抽出を抑えながら、色素を抽出していきます
【スペシャルタイプのPort Wine】
いくつかのスペシャルタイプがあります
Vintage Port(ヴィンテージ・ポート)は、中でも最も高級なタイプです
優れた年のブドウだけを用いて造られる甘口の赤ワインです
単一年に収穫されたブドウを使っているため、収穫年の表示が義務付けられています
特徴としては、基本的に20年程度の樽熟成がされるということと、瓶詰の際に濾過がされないということです
飲む頃には大量の澱がボトルの中に沈殿していますので、デキャンタージュが必須です
L.B.V.(レイト・ボトルド・ヴィンテージ・ポート)は、ヴィンテージ・ポートのブドウに次いで、優れた品質のブドウを使って造られるワインです
ヴィンテージ・ポート同様に、単一年に収穫されたブドウが使われているため、収穫年、瓶詰年の表示が義務付けられています
また、L.B.V.(レイト・ボトルド・ヴィンテージ・ポート)は濾過してから瓶詰されているため、大量に澱が発生するということは基本的にありません
Single Quinta Vintage Pore(シングル・キンタ・ヴィンテージ・ポート)は、Vintage Port(ヴィンテージ・ポート)と同じ手法で、Vintage Port(ヴィンテージ・ポート)として申請されなかった、優良年の単一畑のブドウから造られるタイプです
Quinta(キンタ)は畑を意味します
これは単一畑から造るヴィンテージワインで、ヴィンテージワインを造るにはぶどうの品質が物足りない年でも、
特に優れた畑ではヴィンテージに次ぐような高品質なワインが得られる、という考え方から生まれたものです
Tawny with an Indication of Age(熟成年数表記トウニー・ポート)は、長い期間の熟成で黄褐色になったワインです
10年、20年、30年、40年のものがあり、熟成年数、瓶詰年の表示が義務付けられています
Colheita(コリェイタ)は、単一年に収穫されたブドウだけを使い収穫後7年以上、樽で熟成をしてから瓶詰めされたものです(収穫年、瓶詰年の表示義務)
【Madeira(マデイラ)】
Madeira(マデイラ)ワインは、Madeira島で造られる酒精強化ワインです
【Madeira(マデイラ)特徴】
大航海時代の17世紀に、アメリカ新大陸への航路上に位置するMadeira島で積み込まれたワインは、赤道を横切る航海を終えると、特有のフレーヴァーが生まれることで知られるようになりました
後にブランデーを加えて酒精強化したあと、加熱熟成し、この独特のフレーヴァーを与える工程が開発され、Madeiraの原形となりました
この加熱熟成させる方法が、Madeiraワインの最大の特徴です
Madeiraワインは、アルコール発酵途中に、グレープ・スピリッツ(96度)を添加した酒精強化ワインです
どのタイミングで添加するかは、ブドウ品種により異なります
またアルコール度数は17~22度と規定されています
【Madeiraの主なタイプ・品種】
Madeiraのブドウは、ほとんどが急斜面のPoios(ポイオス)と呼ばれる石垣で形成された細い段々畑で栽培されており、Levadas(レヴァダス)という灌漑(かんがい)水路によって山から水を確保しています
新しい畑は垣根仕立てが好まれますが、大部分は伝統的に棚仕立てによって栽培されています
Madeiraワインに使われる主なブドウ品種は6つ(白5、黒1)です
セルシアル(白)
比較的冷涼な地域で栽培される白ぶどう品種です
酸味が強いため辛口のMadeiraによく使用されます
ヴェルデーリョ(白)
涼しい北部地域で栽培される白ぶどう品種です
中辛口のMadeiraによく使用されます
ボアル(白)
暖かい南部地域で栽培される白ぶどう品種です
酸味と甘さのバランスが良く、中甘口のMadeiraによく使用されます
マルヴァジア(白)
海に面した暑い地域で栽培される白ぶどう品種です
濃縮感が強く芳醇な味わい、甘みも豊かで、甘口のMadeiraによく使用されます
テランテス(白)
Madeiraワインの中では最高級とされる白ぶどう品種です
収穫量が少なく希少性が高く、繊細な味わいが人気です
ティンタ・ネグラ・モーレ(黒)
マデイラ島で多く収穫される黒ぶどう品種です
甘口から辛口までのブレンド用としてよく使用されます
【加熱方法】
Madeiraワインは、アルコール発酵途中に、グレープ・スピリッツ(96度)を添加した酒精強化ワインです
どのタイミングで添加するかは、ブドウ品種により異なります
発酵後は、加熱熟成を行います
ワインを加熱することによって意図的に酸化させます
本来ワインは品質を保つために、酸化しないように工夫しますが、こうして意図的に加熱熟成をすることが、Madeiraワイン最大の特徴です
加熱する方法は、Canteiro(カンテイロ)とEstufa(エストゥファ)の2つに分けられます
Canteiro(カンテイロ)は、太陽熱を利用した天然の加熱熟成方法です
単一収穫年が表示されたヴィンテージワインや、熟成期間が表記されるワインなど、高級品に対して行われます
Estufa(エストゥファ)(=クーバ・デ・カロール)は、人工的な加熱装置(Estufa)を用いて、
35度~50度で最低3カ月間加熱されます
その後、3~4週間かけてゆっくり冷却され、主にCuba(クーバ)と呼ばれる大きな木樽で熟成されます
3年熟成などのスタンダードワインに対して行われます
【熟成表示】
Madeira熟成用の樽は、主に古樽が用いられ、最低3年以上の熟成が義務付けられています
さらに熟成年数に応じてレゼルヴァ、スペシャル・レゼルヴァ、エクストラ・レゼルヴァなどの表記が認められています
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