【ラングドック・ルーション地方 地域・特徴】
ラングドック・ルーション地方は、地中海沿岸に広がるワイン産地で、ローヌ河を境にプロヴァンス地方の西に位置しています
全ワイン生産において、40%を占めるフランス最大の産地で、I.G.Pワインの生産が、この地方全体の70%以上を占め、それはフランス全体のI.G.Pワインの80%に相当します
ラングドック地方に位置する、カルカソンヌは、スペインからの交通の要所であり、欧州最大規模の堅固(けんご)な城壁で有名な街で、1997年に“歴史的城塞都市カルカソンヌ”として世界遺産に登録されました
ルーション地方はかつて、スペインのカタルーニャの一部であったため、現在もその文化が色濃く残っていて、日常的にカタルーニャ語を話す人が多いです
トラモンタンと呼ばれる、乾いた冷たい風により、ブドウ畑は過度な暑さから守られると同時に、乾燥し病害のリスクを低下させます
【ラングドック・ルーション地方 主要ブドウ品種】
主要ブドウ品種は、白は、グルナシュ・ブラン、ブールブーラン、ヴェルメンティーノ(=ロール)、クレレット、ピクプール、マカブー、マルサンヌ、ルーサンヌ、シャルドネ
スペインワインに多く使用されるマカブーも栽培されています
黒は、グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル、カリニャン、サンソー
温かい気候を好むブドウ品種が多く、すぐ北に位置しているコート・デュ・ローヌ地方の主要品種と似ています
【ラングドック・ルーション地方の主なA.O.C.】
ラングドック地方の主なA.O.C.は、
ラングドックは、ラングドック地方全域のA.O.Cで、いくつかの村(15村)は村名を追加表記できます
村名追記のA.O.C.は基本的に赤のみですが、カブリエールという村のみ、ロゼの生産も認められています
リムー・ブランケット・ド・リムーは、リムーから白の発泡性のみの生産で独立したA.O.C.です
モーザック90%以上、瓶内二次発酵で造られます
一方クレマン・ド・リムーは、ロゼと白の発泡性が認められていて、シャルドネ主体、瓶内二次発酵で造られます
コルビエールは、栽培面積1万haを超える広大なA.O.C.です
フィトゥーは、1948年にA.O.C.認定された、ラングドック地方で最も古い産地です
テラス・デュ・ラルザックは2014年に、ピク・サン・ルーは2017年にラングドックから独立したA.O.C.です
ルーション地方の主なA.O.C.は、
コート・デュ・ルーション、コート・デュ・ルーション・ヴィラージュ・レ・ザスプル、モーリィ、コリウール
コート・デュ・ルーション・ヴィラージュ・レ・ザスプルは、2017年に範囲を縮小して昇格したA.O.C.です
ラングドック・ルーション地方は、V.D.Nの生産で有名な産地でもあります
V.D.N.(ヴァン・ドゥ・ナチュレル)とは、ワインの醸造過程でアルコールを添加して、アルコール度数を高めたワインです
ぶどう果汁を発酵させている途中でアルコールを加え、熟成させます
液中のアルコール分が一定量を超えると酵母が働かなくなり、アルコール発酵が止まるため、ぶどう果汁の甘味が残ります
V.D.N.に使用されるぶどう品種は、ミュスカ種とグルナッシュ種の2つに大きく分けられます
一方、V.D.L. (ヴァン・ドゥ・リキュール)は、
まだ発酵させていないぶどう果汁にアルコールを加えてつくることをいいます
【V.D.NのA.O.C.】
特にルーション地方は、フランス全体のV.D.NのA.O.C.(数・生産)が最も多い地方です
ラングドック地方では、フロンティニャン
ルーション地方では、モーリィ、バニュルス、バニュルス・グラン・クリュ、リヴザルト、ミュスカ・ド・リヴザルト、グラン・ルーション
モーリィは、スティルワインのA.O.Cは赤のみが認められています
バニュルスは、コリウールと同地区で生産されています
ラングドック・ルーション地方は、地中海沿岸に広がる、ワイン産地で、A.O.C. I.G.P. 地理的表示なしワインを足した全ワイン生産において、フランス最大のワイン産地であり、
V.D.NやV.D.Lの甘口酒精強化ワインの一大産地でもあります
【南西地方 地域・特徴】
南西地方は、中央高地から、スペインとの国境にまたがるピレネー山脈の麓にまで広がっています
土壌的にも、気候的にも多様なテロワールがあり、それに加えて120以上とも言われる土着品種の宝庫であり、造られるワインのタイプも味わいも多彩で個性に富んでいます
西部は穏やかな海洋性気候、北西部は大陸性気候の影響を受け、南部は地中海性気候が強まります
南西地方にブドウ栽培をもたらしたのは、フランスのほかの地方同様に古代ローマ人です
12世紀以降、巡礼者を迎える協会などの増加に伴いブドウ畑が拡大していきました、また巡礼者たちによってこの地方原産のマルベックなどがほかの地方に広がっていきました
1936年(フランスA.O.C.認定が始まった年)からすでに、A.O.C.に承認されていた、ベルジュラックやジュラソンに続き、1970年代にはイルレギやカオールなど、今では南西地方を代表する産地がA.O.C.を取得していきました
南西地方最大の人口を誇るトゥールーズ市は、この地方を代表する航空産業や宇宙産業の重要拠点です
また大西洋岸沿いからガスコーニュ地域一帯に広がる松林(しょうりん)”ランドの森”に象徴されるように、林業、製紙業も主要産業のひとつです
南西地方は、ベルジュラック地区、ガロンヌ河流域、ロット河流域、タルン河流域、ガスコーニュ地区、リムーザン地区の6つのエリアに分けて見ていくのが覚えやすいと思います!
【ベルジュラック地区】
ベルジュラック地区は、ボルドー地方からドルドーニュ河を上ったところに位置します
主要ブドウ品種は、白はセミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ミュスカデル
黒は、メルロ、カベル・フランネ、カベルネ・ソーヴィニョン、コット(=マルベック、オーセロワ)
主なA.O.C.は、
ベルジュラック、モンラヴェル、ペシャルマン、ソーシニャック、モンバジヤック
ボルドーに近いため、ほぼ同じ品種が栽培されています
奥地のため、気温が低く、かつ粘土質の土壌のため、赤はメルロを主体とした口当たりの優しいタイプ
白は、ソーヴィニヨン・ブラン主体の辛口のほか、セミヨンからの甘口タイプも造られます
【ガロンヌ河流域】
ガロンヌ河流域は、ボルドー地方に流れるガロンヌ河の上流沿いにトゥールーズまで広がるワイン産地です
主要ブドウ品種は、白はソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデル
黒は、カベル・フランネ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、ネグレット、シラー
ネグレットは、中世からこの地で親しまれているワイン用のブドウ品種です
低タンニンで親しみやすく、香り高くフルーティー、
色の濃い滑らかな舌触りのがっしりしたワインを産みます
主なA.O.C.は、
コート・デュ・マルマンデ、ビュゼ、ブリュロワ、サン・サルド、フロントン
ブリュロワ、サン・サルド、フロントンは赤、ロゼのA.O.Cで、フロントンはネグレット主体で造られます
【ロット河流域】
ロット河流域は、ガロンヌ河に流れ込むロット河流域に広がるワイン産地です
主要ブドウ品種は、白はシュナンブラン
黒は、コット(=マルベック)、カベルネ・フラン、フェール・セルヴァドゥ、ガメイ
主なA.O.C.は、
カオール、コトー・デュ・ケルシー、マルシヤック
カオールは、コット70%以上で造られる赤のみのA.O.C.です
【タルン河流域】
タルン河流域の主要ブドウ品種は、白は、ラン・ド・レル、モーザック、シュナンブラン、ミュスカデル
ラン・ド・レルは、ほぼこの地でのみ栽培されている品種です
黒は、デュラス、フェール・セルヴァドゥ、シラー、ガメイ
この地にあるA.O.C.のガイヤックは、ベルジュラックやカオールに次いで大きなA.O.C.です
地中海性気候の影響により夏は暑く、また大西洋による海洋性気候の影響により湿度が変わります
オータンと呼ばれる熱く乾燥した風により、ブドウの育成が促されます
【ガスコーニュ地区】
ガスコーニュ地区の主要ブドウ品種は、白は、プティ・マンサン、グロ・マンサン、クルビュ
黒は、タナ、カベルネ・フラン
タナは、この地の土着品種で、名はタンニン(Tannin)に由来するほど、色濃く渋いのが特徴です
主なA.O.C.は、
マディラン、サン・モン、ベルアン、ジュラソン、イルレギ
マディランは、タナ主体で造られる、赤のみのA.O.Cです
ジュラソンは、プティ・マンサン、グロ・マンサン主体で造られる、甘口白のA.O.Cです
イルレギは、最もスペイン国境に近いA.O.Cです
【リムーザン地区】
リムーザン地区の主要ブドウ品種は、白はシュナンブラン、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ
黒は、カベルネ・ソーヴィニョン、カベル・フランネ、メルロ
主なA.O.C.は、
コレーズ、コレーズ・ヴァン・ド・パイユ、コレーズ・コート・ド・ラ・ヴェゼール
ベルジュラック地区の北東に位置する新しい地区で、2017年に3つの呼称がA.O.C.認定されました
南西地方は、ボルドー地方の東から、南はピレネー山脈にかけてフランス南西部一帯に広がるワイン産地で、美食の食材の産地でもあります
別名”黒ワイン”とも呼ばれるコット主体で造られる赤ワインのカオールなどが特に有名です
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