【独学】スペインワイン産地　ソムリエ試験対策

【ワイン法】

1926年、Rioja(=リオハ)地方が最初に、原産地保護のため統制委員会(Consejo Regulador　コンセホ・レグラドール)を設立しました

国としてワイン法(Estatuto del Vino エスタトゥート・デル・ビノ)を制定したのは、1932年で、これに基づき原産地呼称制度が作られ、1933年に発効しました

これは、フランスのA.O.C.法が生まれた1935年よりも早いです

2009年8月に発効された新しいEU規則にのっとり、スペインワインは地理的表示付きワイン(D.O.PとI.G.P)と地理的表示なしワインの2つに大別されました

地理的表示付きワインは、この中で4段階に細分化されます

【ワイン産地】

スペインワインの産地は、北部、大西洋、地中海、内陸部、南部の5つの地方とバレアレス諸島、カナリア諸島の2つの島部に分けられます

【ワイン産地　北部地方】

北部地方はピレネー山脈山麓に広がる産地で、中心的産地はD.O.C.a Rioja(=リオハ)です

【ワイン産地　北部地方　La Rioja(ラ・リオハ州)】

La Rioja(ラ・リオハ)州の、Riojaは1991年にスペインで最初のD.O.C.a.に認定された、この国を代表するワイン産地です

首都マドリッドの北北東250kmに位置し、Rioja原産地呼称は、エブロ川沿いに位置する

ラ・リオハ州、ナバーラ州、バスク州の3つの行政地区にまたがっています

エブロ河流域とその支流オハ河沿岸に位置します

スペイン語で“リオ(Rio)”は河の意味で、“リオ・オハ(Rio Oja)”という言葉が縮まって、

“Rioja”となったと言われています

19世紀後半、フィロキセラの被害を逃れてスペインに渡ったフランス人により導入された醸造技術などが銘醸地のベースとなっています

現在、Bodega(ボデガ＝ワイン醸造所)は約570軒あり、D.O.C.a.Riojaのワイン販売量は、

全D.O.P.ワイン販売量の中で第1位です

生産可能色は赤、ロゼ、白で、赤が全体の約88％を占めています

主要品種は、白は、Viura(ビウラ)、Garnacha Blanca(ガルナッチャ・ブラン)、Malvasia(マルバシア)

黒は、Tempranillo(テンプラニーリョ)主体、Garnacha(ガルナッチャ)、Mazuelo(マスエロ)、Graciano(グラシアーノ)

Tempranillo(テンプラニーリョ)は、Rioja(リオハ)原産のブドウ品種で、スペインの全ブドウ中2位の栽培面積を誇ります

エブロ河流域の標高300ｍ～700ｍの土地に、Rioja Alta(リオハ・アルタ)、

Rioja Alaves(リオハ・アラベサ)、Rioja Oriental(リオハ・オリエンタル)の3つの小地区があります

2017年にRioja D.O.C.a.委員会が発表したRiojaの規則改定、新カテゴリーやタイプの承認等が、2018年EUによって承認されています(図参照)

【ワイン産地　北部地方　Navarra(ナバーラ州)】

Navarra州の、D.O.Nabarra(ナバーラ)は、在来種のTempranilloにCabernet Sauvignonなどの外来品種を混醸する“ナバーラ・ブレンド”や単一表示ワインで大きな成功を収めています

V.P.は、

Pago de Arinzano(パゴ・デ・アリンサノ)

Prado de Irache(プラド・デ・イラチェ)

Pago de Otazu(パゴ・デ・オタス)

の3つです

Navara州は、北部は海洋性、中部は地中海性、南部は大陸性と、ひとつの州に多彩な気候があるのが特徴です

1950年代にロゼワインの輸出が成功し、ロゼの産地として有名でしたが、近年の固有品種ブームでGarnachaを再評価し、高品質ワインの生産に取り組んでいます

現在では、赤ワインの生産が全体の60％、ロゼワインが30％の生産比率です

【ワイン産地　北部地方　Aragon(アラゴン州)】

Aragon州のD.Oは、

Cariñena(カリニェナ)は、黒ブドウ品種のCariñenaの原産地とされ、Aragon州以外では、Mazuela(マスエラ)、Cataluña(カタルーニャ)州では、Samso(サムソ)とも呼ばれ、フランスではCarignan(カリニャン)と呼ばれます

D.O.名と品種名が同じのため、他の産地のラベルにCariñenaを表示することは禁止されています

Somontano(ソモンターノ)は山麓という意味がありAragon州北部のピレネー山脈の麓に位置しています

V.P.は、

Pago Ayles(パゴ・アイレス)の1つです

Aragon州は、夏は暑く乾燥し、冬は寒さが厳しい気候です

土壌は石灰質に富んでいます

【ワイン産地　北部地方　Pais Vasco(パイス・バスク州)】

Pais Vasco州のD.O.は、

Chacoli de Getaria(チャコリ・デ・ゲタリア)は、主要品種は白のHondarrabi Zuri(オンダラビ・スリ)で、95％を占めます

爽やかな酸味と塩味を思わせるミネラル感のある白のChacoliはシーフードとの相性も良く、近年はアメリカなど海外にも輸出され高い評価を得ています

Pais Vasco州は、白ワインの生産が中心です

スペインの北部、ピレネー山脈の西に位置し、スペインの中で最も経済が発展している州です

【ワイン産地　大西洋地方】

大西洋地方は、ポルトガルの北側、大西洋とカンタブリア海に接する産地です

【ワイン産地　大西洋地方　Galicia(ガリシア州)】

Galicia州のD.O.は、

Riasは“入り江”Baixasは“下部、南部”という意味です

栽培ブドウの約96％が白ブドウのAlbariño(アルバリーニョ)で、フレッシュな白ワインを生産しています

魚介類との相性が良く、海のワインとも称され、近年アメリカなどへの輸出が盛んに行われています

【ワイン産地　地中海地方】

地中海地方は、北部はBarcelona(バルセロナ)近郊が中心産地で、Cava(カヴァ)の大部分もこの地方で生産されています

【ワイン産地　地中海地方　Cataluña(カタルーニャ州)】

Cataluña(カタルーニャ)州の、Priorato(プリオラト)は、2009年にD.O.C.a.に認定された産地です

赤ワインの生産が中心で、ブドウ畑は山の急斜面にあり、昼夜および夏冬の寒暖差が大きいという特徴があります

地質は主にLlicorella(リコレッリャ)で形成されています

Llicorellaは、特殊なスレート粘板岩(ねんばんがん)土壌で、太陽光にキラキラと反射する雲母(うんぼ)の小粒子を含む、何層もの赤い粘板岩から形成されたものです

1980年代後半に、外部の醸造家たちが地元品種のCariñena(カリニェナ)や、Garnacha(ガルナッチャ)などを生かし、また外来品種も用い、スペインの高級ワインを代表する産地となりました

Cataluña州のD.O.は11(とD.O Cavaの認定地域がある、Cavaは別で解説します!)あります

主なものは、

Terra Alta(テラ・アルタ)は州最南部に位置し、Aragon州と接しています

Emporda(エンポルダ)は州最北部に位置し、フランスと国境を接する地域です

この地域のRoses(ロセス)は、紀元前5年にフェニキア人がブドウ栽培を最初に伝えた地とされています

フランスと国境が近いことから、フランス系品種の栽培も目立ちます

【ワイン産地　地中海地方　Valencia(ヴァレンシア州)】

Valencia州のD.O.は、

V.Pは、

Finca Terrerazo(フィンカ・テレラソ)

Pago Chozas Carrascal(チョサス・カラスカル)

Pago Vera de Estenas(ヴェラ・デ・エステナス)

Los Balagueses(ロス・バラゲセス)

の4つです

【ワイン産地　地中海地方　Murcia(ムルシア州)】

Murcia州のD.O.は、

Jumilla(フミーリャ)は、Murcia州と、Castilla La Mancha(カスティーリャ・ラ・マンチャ)州にまたがるD.O.です

主要品種はMonastrell(モナストレル)で、この品種単一のものから、ブレンドしたものまで、様々なタイプのワインが造られます

【ワイン産地　内陸部地方】

内陸部地方は、スペインの首都Madrid(マドリッド)が位置する地方で、4つの州が含まれます

【ワイン産地　内陸部地方　Castilla y Leon(カスティーリャ・イ・レオン州)】

Castilla y Leon州のD.O.は9つあります

主なものは、

Toro(トロ)は、Tinta de Toro(ティンタ・デ・トロ)(=Tempranillo)から造られる赤ワインが代表的で、最近は濃いながら、洗練されたワインとして高く評価されています

白とロゼも少量造られています

Ribera del Duero(リベラ・デル・ドゥエロ)は、2000年ものワイン造りの歴史があり、

Vega Sicilia(ベガ・シシリア)や、Bodega Tinto Pesquera(ボデガ・ティント・ペスケラ)など

世界的に有名なBodega(=醸造所)が拠点をおいています

Riberaは“河岸(かわぎし)、流域”を意味し、ブドウ畑はその名の通りDuero河(ポルトガルではDouro ドウロ河)を挟む細長い平地から傾斜地にかけて広がります

平野部でも標高は750m～850mにあり、最も高い場所では900mを超えます

夏は暑く乾燥し、冬は寒さが厳しい大陸性気候です

生産可能色は赤、ロゼ、白

白は2019年ヴィンテージより認められています

Castilla y Leon(カスティーリャ・イ・レオン)州は、Madrid(マドリッド)の北側に位置し、ポルトガルと国境を接するスペイン一広大な面積を持つ州です

Castillay(カスティーリャ)は、城の意味で、この地域には城跡が多いことも特徴です

【ワイン産地　内陸部地方　Madrid(マドリッド州)】

Madrid州のD.O.は、

Vinos de Madridは、首都の名をもつ唯一の原産地呼称です

古木のGarnacha(ガルナッチャ)による高品質のワインが国際的に注目を集めています

【ワイン産地　内陸部地方　Castilla La Mancha(カスティーリャ・ラ・マンチャ州)】

Castilla La Mancha州のD.O.は8つ、V.P.は12あります

主なD.O.は

La Manchaは単一の原産地呼称では世界最大の広さ(約16万ha)を誇ります

主要品種は、スペイン最大の栽培面積をもつ白ブドウのAiren(アイレン)、黒ブドウはCencibel(センシベル)(=Tempranillo)です

主な、V.P.は

Guijoso(ギホソ)

Pago Florentino(パゴ・フロレンティーノ)

Pago Calzadilla(パゴ・カルサディーリャ)

Castilla La Mancha州は、Madridから南に位置する州で、州都はトレドです

“Mancha”はアラビア語で“水のない土地”を意味するため、乾燥した大平原に位置しています

【ワイン産地　内陸部地方　Extremadura (エクストレマドゥーラ州)】

Extremadura(エクストレマドゥーラ)州のD.O.は、

【ワイン産地　南部地方　Andalucia(アンダルシア州)】

南部地方には、広大な面積を誇るAndalucia州が位置しています

Andalucia州のD.O.は6つあります(sherryは別で解説します!)

主なものは、

Montilla Moriles(モンティーリャ・モリーレス)は、州中央部に位置し、土壌はSherryの産地と同じく石灰質のAlbariza(アルバリサ)です

主要品種は、Pedro Ximenez(ペドロ・ヒメネス)で、酒精強化ワインとスティルワインが造られています

【ワイン産地　諸島】

Islas Baleares(バレアレス諸島)は、地中海西部、スペイン東岸の沖合にあり、メインの4島と小島からなる諸島です

ローマ帝国の植民地時代からワイン造りが行われています

D.Oのビニサレムは、1990年にこの地で最初の原産地呼称認定を受けました

(2つのD.O.がある)

Islas Canarias(カナリア諸島)は、スペイン本土から約1000km、大西洋沖約100kmに浮かぶ7島からなります

そのうち6島でワイン生産が行われています

また、フィロキセラの侵入がないため、今でも接ぎ木なしのブドウが植えられています

D.O.のLanzarote(ランサローテ)は、アフリカ大陸に近い島で、島全体がD.O.の認定地域です(10のD.O.がある)

1730年から6年間続いた火山の噴火によって、風化した火山灰や溶岩が堆積した土壌が特徴です

【総括】

スペインは、17の自治州すべてでワインが生産されていますが、その約62％が中央高原地帯のCastilla La Mancha(カスティーリャ・ラ・マンチャ)州で生産されています(栽培面積は全体の約48％)

D.O.Pワインでは、スティルワインは北部のRioja(リオハ)や、内陸部のRibera del Duero(リベラ・デル・ドゥエロ)、

スパークリングワインのCava(カヴァ)は、その大半が北部地中海側のCataluña (カタルーニャ)州で生産されています

酒精強化ワインは、南部Andalucía(アンダルシア)州の、Jerez(ヘレス)=sherry(シェリー)が世界的に有名です