【独学】スペインワイン(概論) ソムリエ試験対策

ソムリエ試験対策

【概要】

スペインはイベリア半島に位置し、ワイン生産量はトップクラスを誇るワイン大国です 

生産量はそれぞれ、スペイン 4,070 万 hl、イタリア 4,910 万 hl、フランス 4,660 万 hl、

この 3カ国の合計で 世界のワイン生産量の 53%を占めます

スペインと言えば赤ワインのイメージが強いですが、白ワインはもちろん、スパークリングワインのCava(カヴァ)、酒精強化ワインのSherry(シェリー)などの生産も盛んに行われています(赤・ロゼ:約51%、白:約49%)

栽培面積は、約95万haで世界1位を誇ります

これはEU内の全ブドウ畑面積の約30%を占めます

17の自治州すべてでワインが生産されていますが、その約62%が中央高原地帯のCastilla La Mancha(カスティーリャ・ラ・マンチャ)州で生産されています(栽培面積は全体の約48%)

D.O.Pワインでは、スティルワインは北部のRioja(リオハ)や、内陸部のRibera del Duero(リベラ・デル・ドゥエロ)、スパークリングワインのCava(カヴァ)は、その大半が北部地中海側のCataluña (カタルーニャ)州で生産されています

酒精強化ワインは、南部Andalucía(アンダルシア)州の、Jerez(ヘレス)=sherry(シェリー)が世界的に有名です

世界で4番目の世界遺産登録数(1位イタリア、日本は11位)を誇るスペインには、多くの観光客が訪れ、経済最大の産業はサービス業です

ワイナリーは約4000軒あり、その大部分は中規模の生産者ですが、販売全体の約28%を5大企業で占めています

【歴史】

紀元前1100年頃、フェニキア人が大西洋岸の町、現在のAndalucía(アンダルシア)州のCádiz(カディス)に到着しブドウ栽培と、ワイン造りが伝わったと言われています

紀元前200年頃、ローマ人がワイン造りを盛り上げ、スペイン各地で造ったワインをローマ帝国へ輸送していました

711年、アフリカから来たイスラム教徒のムーア人により、イベリア半島侵略が始まり支配を受けましたが、一部ブドウ栽培と、ワイン造りは継承され、彼らによって蒸留技術が伝わりました

イスラム教徒の制服直後、キリスト教徒による国土回復運動、レコンキスタが始まりました

スペインの国旗は「血と金の旗」と言われ、金は豊かな国土、赤は外敵を撃退した時に流れた血の象徴、中の紋章はイベリア半島の初期の5つの国を表しています

11世紀後半頃、北部のキリスト教王国にキリスト教徒の再植民が行われ、また修道院が建設され、ブドウ畑の復興とともにワイン生産も活気づきます

1492年、レコンキスタが成就したのと同時にアメリカ大陸が発見され、大航海時代が幕開けします

新大陸に領土を拡大していったスペインから出る船には、シェリーや、カナリア諸島のワインなど、船の出発地、中継地のワインが大量に積まれました

19世紀後半、スペインにもフィロキセラが到達し甚大な被害が出ましたが、

フランスですでに考案された接ぎ木(つぎき)による対処法が導入されたため、回復は早かったです

また、その当時、フィロキセラの害でブドウ畑を失ったフランス人たちが、Rioja(リオハ)など、北部のワイン産地にやってきて、ワイン造りを始めたため、スペインの醸造技術の進歩に大きく貢献しました

20世紀には、第一次、第二次世界大戦などの影響により、ワインの輸出は大幅に落ち込み国内市場に限られてしまいます

1950年以降、ブドウ畑や、ワイン生産を含めた農業を立て直すため、各地に共同組合がおこされました

独裁政権から、立憲君主制に戻り民主化の道を進み、ワイン産業も復興を始めました

特にEUに加盟した、1986年以降の革新は目覚ましいです

【主要ブドウ品種】

スペインワインを造るブドウは現在160品種あり、固有品種が多いのが特徴です

白ブドウは、アイレン、マカベオ(=ビウラ)、ベルデホ、パルディーナ、パロミノ

アイレンは、全ブドウ中1位の品種で、白ブドウ全体の約半分を占めます

マカベオはCava(=カヴァ)の主要品種、パロミノはSherry(=シェリー)の主要品種です

黒ブドウは、テンプラニーリョ、ガルナッチャ・ティンタ(=グルナッシュ)、ボバル、モナストレル(=ムールヴェドル)、マスエラ(=カリニェナ)(=カリニャン)

テンプラニーリョは、全ブドウ中2位の品種で、全ブドウ品種の21%を占めます

テンプラニーリョは、Rioja(=リオハ)の主要品種として有名ですが、スペイン全土で栽培されていて、各地で呼び名が違います

リベラ・デル・ドゥエロでは、ティント・フィノ、ティンタ・デル・バイス

ラ・マンチャでは、センシベル

カタルーニャでは、ウル・デ・リェブレ

トロでは、ティンタ・デ・トロ

マドリッドでは、ティンタ・デ・マドリッド

【ワイン法】

1926年、Rioja(=リオハ)地方が最初に、原産地保護のため統制委員会(Consejo Regulador コンセホ・レグラドール)を設立しました

国としてワイン法(Estatuto del Vino エスタトゥート・デル・ビノ)を制定したのは、1932年で、これに基づき原産地呼称制度が作られ、1933年に発効しました

これは、フランスのA.O.C.法が生まれた1935年よりも早いです

2009年8月に発効された新しいEU規則にのっとり、スペインワインは地理的表示付きワイン(D.O.PとI.G.P)と地理的表示なしワインの2つに大別されました

地理的表示付きワインは、この中で4段階に細分化されます

V.P.(ヴィノ・デ・パゴ)(=単一ブドウ畑限定)は、2003年に新設されたカテゴリーで、現在は20のブドウ畑が認定をされています

地域ではなく、独特の特徴を持つテロワールや、限定された面積の単一ブドウ畑で栽培、収穫されたブドウのみから造られるワインに認められる原産地呼称です

V.P.のブドウ畑は、D.O.C.a.、D.O.に認定されていない地域に属してもよく、D.O.C.a.地域産であれば、V.P.C.と表示することも認められています(現在はまだ存在していない)

D.O.C.a(特選原産地呼称)は、1988年に制定されたカテゴリーで、D.O.ワインの中から厳しい基準で昇格が認められた高品質ワインで、

1991年にRioja(=リオハ)、2009年にPriorato(=プリオラト)の2地域が認定されています

D.O.(原産地呼称)は、スペイン高級ワインの中核的なカテゴリーで、現在約70地域が認定されています

D.O.に認定されて10年後にD.O.C.a.への昇格申請が可能となります

V.C.(地域名付き)は、特定の地域、地区などで収穫されたブドウを原料として生産された、地域性を表現したワイン

V.C.に認定されて5年後にD.O.への昇格申請が可能となります

【熟成規定】

スペインワイン法では、熟成期間と表示が規定されています

D.O.P.ワインでは、オーク樽などでの熟成期間に応じて、ラベルに表記できる名称が異なります

D.O.C.a. Rioja(=リオハ) では、独自の熟成規定を設けており(2018年改訂) 、樽は225ℓのオーク樽を使用と規定されています

I.G.Pと地理的表示なしのワインでは、600ℓのオーク樽または瓶での熟成期間に応じて、ラベルに表記できる名称が異なります

【総括】

スペインでは国土のほぼ全域でブドウ栽培が行われています

北部のリオハで多く栽培されている赤ワインを代表する品種テンプラニーリョなど、スペイン固有品種を用いたワインが多いことが特徴です

カタルーニャ地方で造られるCava(カヴァ)は、日本で最も嗜まれている瓶内二次発酵を用いたスパークリングワインです

その他にも酒精強化ワインであるシェリーや、ワインにフルーツや砂糖を加えて作るサングリアなど、日本でもスペインワインを身近に味わう機会が多くあります

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