【地図・地域】
イタリア中部地域は、中部から南部にかけては中央にアペニン山脈が走り、西のティレニ海側と、東のアドリア海側に分かれます
中部地域の州は
- トスカーナ
- ウンブリア
- マルケ
- ラツィオ
- アブルッツォ
- モリーゼ
【トスカーナ州】
トスカーナ州は中部地域で最も有名な産地で、ピエモンテ州と並び二大銘醸地として知られています
ワイン生産量の約63%をD.O.P.ワインが占め、D.O.P.ワインの銘醸数がイタリアの中で第2位と高品質ワインの産地です(1位はピエモンテ州 約94%)
また、赤ワインの生産が全体の約87%と多くを占めます
イタリア文化の重要な中心地で、ダンテ、ガリレイ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、マキャベッリなど、文化史の世界的巨人を多数輩出しています
1716年、トスカーナ大公国のコジモ3世は、当時著名な生産地であったキャンティ、カルミニャーノ、ポミーノ、ヴァルダルノ・ディ・ソプラの4つについて、ここ以外で造られたワインの名前にその地域名を使用することを禁じました
これが最初の原産地呼称制度となりました
1870年前後には、ベッティーノ・リカーゾリ男爵がキアンティワインのベースとなる品種構成、フォルムラを定めました
フォルムラはレシピの事です
サンジョベーゼ70%、カナイオーロ20%、マルヴァジア・デル・キアンティ10%
のキアンティワインのベースとなるブレンド比率です
【トスカーナ州主要ブドウ品種】
主要ブドウ品種は、白はヴェルナッチャ、マルヴァジア・ビアンカ、トレッビアーノ
黒は、サンジョベーゼ、カナイオーロ・ネーロ
サンジョベーゼは、イタリア中部地方を原産とする赤ワイン用ブドウ品種です
名前の直訳が「ジュピター(=ローマ神話の主神)の血」であることから、古代から存在していたブドウと言われています
【トスカーナ州D.O.P. D.O.C.G数11:(赤10、白1】
D.O.C.G.は、
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの主要品種は、サンジョベーゼ(=ブルネッロ)です
50カ月以上の熟成、うち木樽が2年以上必要
また、ブドウ収穫年から5年目(リゼルヴァ:6年目)の12月末より前に消費することが禁じられています
シエナ県モンタルチーノ村で造られる偉大な赤ワインです
キアンティは、サンジョベーゼをベースに造られる、イタリアで最も有名な呼称のひとつです
【キアンティとキアンティ・クラッシコの違い】
フィレンツェとシエナの間に広がる丘陵(きゅうりょう)地帯が「キアンティ地方」と呼ばれ
元々は、この地方で造られるワインを「キアンティ」と呼んでいました
しかし、生産地区がキアンティ地方以外にも拡大したため、独立し「キャンティ・クラッシコ」を名乗るようになりました
サンジョベーゼの使用割合は、キアンティは70%以上に対して、キアンティ・クラッシコは80%以上です
熟成期間は、キアンティは最低4カ月に対して、キアンティ・クラッシコは11カ月です
カルミニャーノは、トスカーナ州の伝統的な呼称には珍しくカベルネ・ソーヴィニョンがブレンドされます
ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノは、トスカーナ州で唯一の白ワインのD.O.C.G.です
モレッリーノ・ディ・スカンサーノを造るこの地域では、サンジョベーゼを「モレッリーノ」と呼びます
スヴェレートの主要品種はカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、サンジョベーゼです
トスカーナ州では珍しくカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ主体で造られます
【トスカーナ州の主なD.O.C.】
主なD.O.C.は、
ポミーノは、赤と白が認められていて
主要品種は、赤はサンジョベーゼ、ピノ・ネーロ、メルロ
白は、ピノグリージョ、シャルドネ、ピノビアンコという珍しいブレンドでつくられます
ボルゲリは、赤、白、ロゼが認められていて
主要品種は、赤はカベルネ・ソーヴィニョンなどです
ボルドー品種を使用した産地として一気に名を高めました
ボルゲリ・サッシカイアは、赤ワインが認められています
単一ワイナリーに与えられた唯一の呼称です
(テヌータ・サン・グイドというブドウ畑で造られます)
サッシカイアは、スーパータスカンに上げられるワインです
トスカーナ産のワインとしてリリースするためには、サンジョベーゼ等のイタリア品種のブドウを使う必要があります
そのため、カベルネ・ソーヴィニョンやメルロといった、ボルドー品種をブレンドしたワインの格付けは最下級のテーブルワインになります
それでも、最高品質を造り続ける事から「スーパータスカン」と呼ばれるようになりました
(Vdtのカテゴリーで最高品質のワインを造っている)
サッシカイア、オルネライア、ソライアこの三つがスーパータスカンに上げられます
【ウンブリア州】
ウンブリア州は、イタリア半島のほぼ中央に位置します
湖、川が多く水に恵まれていて、州土の70%を占める緑の丘陵(きゅうりょう)地帯は美しく、イタリアの”緑の心臓”と呼ばれています
ノルチャ地方で採れる黒トリュフが特産品です
D.O.C.G数は2つで、赤ワインのみです
【マルケ州】
マルケ州は、アドリア海沿岸地帯の中では一番北に位置する細長い州で、69%が、丘陵(きゅうりょう)地帯31%が、山岳地帯で、平野部はほとんどありません
D.O.C.G.コーネロは、アドリア海沿岸で最も優れたワインといわれ、古代ローマ時代よりその名が知られています
1950年代にアンフォラ型のボトルで世界的に大成功を収めた、白ワインのD.O.C.ヴェルデッキオ・ディ・カステッリ・ディ・イエージが有名です
また、白ワインの中心となる品種は、土着品種のヴェルデッキオです
【ラツィオ州】
ラツィオ州の首都ローマは、古代ローマ共和国建国の地であり、イタリアの首都です
古代ローマ時代からブドウ栽培が盛んで、火山性土壌の丘陵(きゅうりょう)地帯は日当たりもよく、ブドウ栽培に適しています
白ワインの生産が72%を占めていて、爽やかで、心地よい白ワインの生産が多いです
【ラツィオ州D.O.P. D.O.C.G数3:(赤1、白2】
D.O.C.G.は、
チェザネーゼは、ラツィオ州の土着品種として知られており、ローマ時代から権力者階級に愛されてきた長い歴史をもつワイン用ブドウ品種です
ローマのすぐ南の位置するフラスカーティでは、伝統的に甘口のことをドルチェと言わずカンネッリーノ(残党量35g/L以上)といいます
【アブルッツォ州】
アブルッツォ州は、65%が山岳地帯で、平野部は1%しかありません
人より羊の方が多いと、揶揄される州です
赤のD.O.C.モンテプチアーノ・ダブルッツォと白のD.O.C.トレッビアーノ・ダブルッツォが有名で、コクのあるロゼのD.O.C.チェラスオーロ・ダブルッツォも人気です
チェラスオーロとは、「チェリーのような」の意味で、アブルッツォ州ではロゼを指しますが、シチリア州では色の濃い赤ワインのことを指します
【モリーゼ州】
モリーゼ州は、人口がヴァッレ・ダオスタ州に次いで2番目に小さな州で、生産量の72%が赤ワインです
地元消費のワインが多く造られていて、D.O.C.ビフェルノが有名です
イタリア中部地域は、ローマ(ラツィオ州)やフィレンツェ(トスカーナ州)など独自の文化を実らせていて、東はアドリア海、西は地中海に面しています
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノやスーパータスカンなどの高品質な赤ワインを生むトスカーナ州が最も有名ですが、
アブルッツォ州のモンテプルチアーノやトレッビアーノを始め、各州の土着品種から造られるカジュアルなワインも国内外で広く評価されています
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