【地図・地域】
イタリア北部地域は、北はアルプス山脈に面し、比較的冷涼な地域も多いのが特徴です
北部地域の州は
- ヴァッレ・ダオスタ
- ピエモンテ
- リグーリア
- ロンバルディア
- トレンティーノ・アルト・アディジェ
- ヴェネト
- フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア
- エミリア・ロマーニャ
【ヴァッレ・ダオスタ州】
ヴァッレ・ダオスタ州は、面積、人口ともに最小の州で、イタリア北西部に位置し、北はスイス、西はフランスと国境に接しています
ワイン生産量は20州の中で最も少なく、赤ワインの生産が59%と半数以上を占めます
ワイン用のブドウ品種は22品種認められており、この州でしか栽培されないユニークなものもあります
D.O.P.ワインは、D.O.C.のヴァッレ・ダオスタのみで、D.O.C.Gはありません
【ピエモンテ州】
ピエモンテ州は、”山の麓(ふもと)”という意味で、アルプスの山麓から南に広がります
トスカーナ州と並ぶ二大銘醸地で、面積は全20州中、シチリア州に次いで第2位の大きさです
長年この地を支配したサヴォイア王家が、フランスのサヴォワ地方出身であったことから、週間、文化にはフランスの影響が色濃く見られます
ワイン生産量の約94%をD.O.P.ワインが占め、D.O.P.ワインの銘醸数がイタリアの中で第1位と高品質ワインの産地です
また、赤ワインの生産が全体の約61%を占めます
【ピエモンテ州主要品種】
主要品種は、白はコルテーゼ、アルネイス、モスカート・ビアンコ
黒は、ネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェット、ブラケット
土着品種のネッビオーロを用いた、単一品種醸造が多く、単一畑文化も根付いています
【ピエモンテ州D.O.P. D.O.C.G数18:(赤12、白3、赤白2、ロゼ・白(発泡)1)】
D.O.C.G.は、
バローロ、バルバレスコは特に有名で、ともにネッビオーロ100%で造られる、長期熟成タイプの赤ワインを生みます
共に1981年の最初に認定をされました
ガッティナーラがある、州の北部では、ネッビオーロをスパンナという別名で呼びます
アスティは日本でも有名です
微発泡の、モスカート・ダスティと発泡性のアスティ・スプマンテ(シャルマ方式)に分かれます
白はモスカート・ビアンコ100%で造られます
他に白ワイン(発泡性も認められている)のみが認められているD.O.C.Gは、
ガヴィとエルバルーチェ・ディ・カルーゾです
ガヴィはコルテーゼ100%、エルバルーチェ・ディ・カルーゾはエルバルーチェ100%で造られます
ロエーロと、テッレ・アルフィエーリは赤と白が認められているD.O.C.G.です
それぞれ、赤はネッビオーロ、白はアルネイス主体で造られます
また、テッレ・アルフィエーリは2020年に認定された新しいD.O.C.G.です
アルタ・ランガは、ピノ・ノワール、シャルドネで造る、ロゼと白の発泡性のD.O.C.Gです(瓶内二次発酵)
【リグーリア州】
リグーリア州は州の65%が山岳地帯で35%が丘陵(きゅうりょう)地帯と平地はないため、ワイン生産はヴァッレ・ダオスタ州に次いで少ないです
州都のジェノヴァはイタリア最大級の貿易港です
白ワインの生産が70%と多く、ボスコ、アルバローラ種からは個性的で複雑な、
ヴェルメンティーノ種からは香り高く心地よい塩味を感じさせるフレッシュな白ワインが造られます
海に迫る断崖の上に、家々とブドウ畑が連なるチンクエ・テッレ地区は世界遺産に登録されていて、その地区で造られるD.O.C.のチンクエ・テッレ(白)が有名です
【ロンバルディア州】
ロンバルディア州は、観光業、工業、ファッション業が栄えるイタリアで最も裕福な州で、国民総生産の4分の1を生み出しています
【ロンバルディア州D.O.P. D.O.C.G数5:(赤3、ロゼ・白(発泡)2)】
D.O.C.Gは、
フランチャコルタは、瓶内二次発酵で造られる高級スパークリングワインです
シャルドネ、ピノ・ネーロ(=ピノ・ノワール)、ピノ・ビアンコなどから造られます
ガス圧が低く、白ブドウのみで造られたものはサテンと呼ばれます
ヴァルテッリーナでは、ネッビオーロをキアヴェンナスカという別名で呼びます
スフォルツァートは、陰干しブドウから造られる、アルコール度数14度以上の辛口ワインです
【トレンティーノ・アルト・アディジェ州】
トレンティーノ・アルト・アディジェ州は、イタリア最北に位置し、北はオーストリア、スイスと国境を接する州です
白ワインの生産が71%とイタリアを代表する白ワインの産地です
白ワインは、ピノ・ビアンコ、シャルドネからすっきりとした酸を持つフレッシュな味わいのものが造られています
赤ワインは、土着品種のスキアーヴェやラグレインから、濃厚な果実味のものが造られています
土着品種の黒ブドウ、テロルデゴで造られる、D.O.C.テロルデゴロタリアーノや、発泡性のロゼ・白が認められているD.O.C.トレントが有名です
【ヴェネト州】
ヴェネト州は、ワインの生産量で全20州の中でトップになることも多く(2022年生産量予測第1位)、また東に隣接するフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州とともに白ワインの生産地として有名です
D.O.Pワインは全生産量の約78%、白ワインの生産比率が約81%と多いです
国際ワインの見本市ヴィーニタリーが毎年開催されるヴェローナは、イタリアワインの首都と呼ばれています
グラッパで有名な町、バッサーノ・デル・グラッパもあり、蒸留酒も盛んに造られています
【ヴェネト州主要品種】
主要品種は、白はガルガーネガ、トレッビアーノ・ディ・ソアヴェ、グレーラ(=プロセッコ)
黒はコルヴィーナ、ロンディネッラ、ラボーゾ
【ヴェネト州D.O.P. D.O.C.G数14:(赤6、白7、赤白1】
D.O.C.G.は、
ソアーヴェはヴェネト州の白を代表する銘柄です
陰干しブドウから造られるレチョート、通常のアルコール度数より、1%以上高い場合に使用できるスペリオーレが、D.O.C.Gに認められています
ブドウ品種は、ガルガーネガ70%以上で造られます
一方、赤を代表する銘柄はアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラです
アマローネの言葉は、“苦み”という意味があります
陰干ししたブドウ(=アパッシメント)を発酵させる伝統製法によって生み出されます
ブドウ品種はコルヴィーナ主体で造られます
リソンは、一部フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州にまたがるD.O.C.G.です
白のみが認められていて、ブドウ品種はタイ85%以上です
タイは、以前はトカイ・フリウラーノと呼ばれていました
【フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州】
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州は、北はオーストリア、東はスロヴェニアと国境を接しイタリア語以外に、ドイツ語、スロヴェニア語も州の公用語として認められています
白ワインの生産が76%と多く、甘口白のD.O.C.G.ラマンドロ、コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ・ピコリットが有名です
【エミリア・ロマーニャ州】
エミリア・ロマーニャ州は、白ワインの生産が52%やや多いです
発泡性・弱発泡性のD.O.C.ランブルスコ、古代ローマ時代から伝わる白ブドウのアルバーナで造るD.O.C.ロマーニャ・アルバーナが有名です
イタリア北部地域は、北はアルプス山脈に面し、比較的冷涼な地域も多いのが特徴です
ネッビオーロ種で造る「バローロ」や「バルバレスコ」などの高級赤ワインを生むピエモンテ州がある他、
冷涼な地域で白ワインの生産が盛んな州が多いことも特徴です
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