日本料理の特徴
食事は人間にとって最も根本的行為であり、文化の根底をなしていると言えます
日々の食事がその人の体調のみならず、体質や人格さえも形成すると考えられています
世界の料理と比較すると、日本料理には様々な特徴があります
四季ごとの旬の食材が豊富で、季節感を楽しむ料理が多いです
また、茶碗を持つという食事のとり方から、多彩な器が存在し、それらの見た目や盛り付けの美しさを大事にすることも大きな特徴です
稲作農耕が基本のため、米を主食とし、油の使用量は非常に少なく、一汁三菜を基本とし栄養バランスが良いです
島国であるため、新鮮な魚介類を得ることが出来た環境から、魚介類を生で食することも多いです
日本料理の伝統様式
日本料理には様々な伝統様式が存在します
神饌は、神前に供える食べ物のことで直会(祭りの終了後に神前に供えた御食、御酒)をいただくこと)の思想に基づき供えられます
大饗料理は、奈良時代に中国の様式を取り入れ発展した料理です
台の上に箸と匙(さじ)が置かれ、米、酒、魚など20種類以上の皿が並ぶ貴族のための料理です
本膳料理は、日本料理の正式な膳と献立の基本で、江戸時代に確立されました
一汁三菜のような形式で庶民の間へも広がりました
精進料理は、素食を常とし、魚介類や肉類をいっさい使用せず、手間をかけて作られる料理です
山に囲まれ、寺院の多い京都で発展し、京料理の基盤となっています
懐石料理は、室町時代の茶道の発展により生まれた料理です
季節感を大事にすることや、料理の順番や作法も決められていることが特徴です
会席料理は、会合などで出す酒宴(しゅえん)を伴う料理です
大変贅沢な料理で現在の日本料理の主流となっています
世界各国の料理の特徴
中国料理は、日本では「北京料理」「上海料理」「四川料理」「広東料理」の4つに代表されます
これらの料理に共通する特徴として、
- 医食同源という儒教の基本概念、発酵食品や乾物を多用する、大皿に盛り付け取り分けるスタイル、また箸文化発祥の地として箸と匙(さじ)を使って食べる、といったことがあげられます
西洋料理は、フランスやイタリアをはじめとするヨーロッパ各地や、北アメリカの料理を指します
西洋料理に共通する特徴として、
- バターやラードなど油で調理することが多い、料理にかけるソースを重要視する、乳製品や香辛料・ハーブを多用する、バラエティ豊富なデザートがある、といったことがあげられます
エスニック料理は、1960年代にニューヨークで発祥したもので、もともとは人種・人民という意味を持ちます
日本では1980年代以降定着し、主に東南アジア、アフリカ、中南米などの料理を指します
エスニック料理に共通する特徴として、
- 千差万別の他民族料理であること、辛味の強い料理が多いこと、魚醤・香菜・香辛料などで強い風味をつける、といったことがあげられます
宗教で禁止されている主な食べ物
イスラム教では、豚、アルコール、血液などがあります(ハラール:許可された食べ物 ハラーム:禁止された食べ物)
マラダンという断食の期間も存在しています
ヒンドゥー教では、牛、豚などの肉類全般、魚介類全般、卵、生もの、五葷(ごくん)
※五葷(にんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ネギ、あさつき)
右手は神聖な手、左手は不浄な手とされています
仏教では、一部の厳格な仏教徒の間で、肉全般、五葷など
キリスト教では、一部の宗派に限り、肉全般、アルコール、コーヒー、紅茶、茶、タバコなどがあります
ユダヤ教では、食べ物に関しては非常に厳しい戒律が存在しています
旧約聖書の中では、ヒレとウロコのないもの、ひづめの分かれていない動物、血液、肉類と乳製品の組み合わせなどがあります
食養の考え方
食養の基本的な考え方は、病気をしない食事を心掛け、病気を未然に防ぐという考え方です
日本における食養として、昔からハレの日、ケの日という食事観があります
ハレの日は、特別な時の特別な料理、もてなしの料理などの非日常の食事を指し、ケの日は、素食な日常の食事を指します
大半を占めるケの食事は体調や体質、気質までもつかさどると考えられ非常に大切にされてきました
温冷効果の考え方
食品や飲料はそれぞれに「体を温める」または「体を冷やす」といった効果があるという中国の陰陽原理の流れをくんだ考え方です
温冷効果の考え方では、アルコール飲料は体を冷やすとされています、その中でもアルコール度数が高いほどその効果が高いとされており、飲酒習慣は慢性的な冷性にもつながるとされています
参考文献:新訂 もてなしの基
コメント